ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

シューベルト/八重奏曲ヘ長調(1987年9月)
CD(TELDEC CLASSICS 244 195-2)

 シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

  ベルリン・ゾリステン
  ベルント・ゲラーマン(ヴァイオリン)
  ベルンハルト・ハルトーク(ヴァイオリン)
  ウォルフラム・クリスト(ヴィオラ)
  イェルク・バウマン(チェロ)
  クラウス・シュトール(コントラバス)
  カール・ライスター(クラリネット)
  ミラン・トゥルコヴィチ(ファゴット)
  ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
  録音1987年9月

  ベルリンのトッププレイヤーが揃うベルリン・ゾリステンよるシューベルトの八重奏曲です。この作品は演奏に1時間近くかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
  第1楽章:前奏のアダージョから緊張感漂う演奏です。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ゲラーマンのヴァイオリンとライスターのクラリネットが気迫に満ちた演奏しています。続くヴラトコヴィチのホルンも真剣な表情が見えるようです。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まり主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ここはライスターの豊かな表現力が聞きものです。中間部ではホルンソロがきれいに歌われます。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。勢いのある演奏はまさに小さなオーケストラです。ライスターのクラリネットにはほれぼれします。ピッタリついていくホルンが素晴らしい。
  第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの美音が素晴らしい響きです。ヴラトコヴィチの吹くホルンの変奏には豊かな響きがあります。バウマンのチェロも聞きものです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。優雅な響きのメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは壮大なフィナーレでこの演奏もまさにベルリン・フィルの演奏を聞いているかのようです。演奏時間63分10秒。


トップへ
戻る
前へ
次へ