ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

シューベルト/八重奏曲ヘ長調(1987年4月)
CD(DGG UCCG-3650)

  シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

  ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
  イザベル・ファン・クーレン(ヴァイオリン)
  タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ)
  ダヴィド・ゲリンガス(チェロ)
  アロイス・ボッシュ(コントラバス)
  エドゥアルト・ブルンナー(クラリネット)
  クラウス・トゥーネマン(ファゴット)
  ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
  録音1987年4月

  このアルバムは「ロッケンハウスの音楽・・・ギドン・クレーメルと仲間たち(1987)」のコンサートが開催されたときにポリングでスタジオ録音されたものです。クレーメル、クーレン、ツィンマーマン、ゲリンガス、ブルンナー、トゥーネマン、ヴラトコヴィチというソロ活動をしている仲間が参集しての演奏です。シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間近くかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
  第1楽章は前奏のアダージョから希望に満ちたような演奏です。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。クレーメルのヴァイオリンとブルンナーのクラリネットが気迫に満ちた演奏しています。クーレンのヴァイオリンもよくわかります。続くヴラトコヴィチのホルンはきれいなレガートで演奏しています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロで終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ユニゾーンの美しさは素晴らしいものです。中間部ではホルンソロが歌われますが、クレーメルのヴァイオリンとの対話がまたきれいです。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。クレーメルのリードするアンサンブルの整然とした演奏はこの楽章の明るさと暗さをはっきりとさせたもので新鮮な響きです。トリオがよい響きです。
  第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンの美音が素晴らしい響きです。ファゴットとホルンの絡みも絶妙です。ヴラトコヴィチの吹くホルンの変奏には豊かな響きがあります。続くゲリンガスのチェロもまた聞きものです。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が転調しながら歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。優雅な響きのメヌエットです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロは見事なアンサンブルでまとめています。演奏時間61分10秒。


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