ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

レ・ヴァン・フランセ/フランスの管楽作品&20世紀の管楽作品
CD(EMI TOCE−90222・23)2枚組

フランスの風〜ザ・ベスト・クインテット
CD1:フランスの管楽作品
1.イベール/3つの小品
2.ラヴェル/クープランの墓(ジョーンズ編)
3.ジョリヴェ/オーボエとバスーンのためのソナチネ
4.ミヨー/組曲「ルネ王の暖炉」Op205
5.タファネル/木管五重奏曲ト短調
CD2:20世紀の管楽作品
6.リゲティ/6つのバガテル
7.ツェムリンスキー/木管五重奏のためのフモレス
3.バーバー/夏の音楽Op31
4.ヴェレシュ/オーボエ、クラリネットと
          バスーンのためのソナチネ
5.ヒンデミット/5つの管楽器のための
             小室内音楽Op24−2

 レ・ヴァン・フランセ
 エマニュエル・パユ(フルート)
 フランソワ・ルルー(オーボエ)
 ポール・メイエ(クラリネット)
 ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
 ジルベール・オーダン(バソン)
 録音 2011年8月27〜31日

 レ・ヴァン・フランセの木管五重奏による「フランスの管楽作品」と「20世紀の管楽作品」です。
 ジャック・イベール(1890〜1962)の「3つの小品」は1930年の作品。木管五重奏の名作で、デニス・ブレインらの演奏で知られています。レヴァン・フランセの緻密な演奏は素晴らしいものです。明るい響きが生きています。
 モーリス・ラヴェル(1875〜1937)の「クープランの墓」はアメリカのホルン奏者メイソン・ジョーンズが木管五重奏のために編曲したものです。4つの曲で構成されています。耳慣れた作品を木管五重奏で聴くのもまたいいものです。ラヴェルのオーケストラ作品でも管楽器が活躍しますので違和感がありません。
 アンドレ・ジョリヴェ(1905〜1974)の「オーボエとバスーンのためのソナチネ」は1963年の作品。高音のオーボエと中低音のバスーン(フランス式のファゴット)が作り出す響きはダブルリードの楽器独特のものです。その融合は素晴らしいものです。第1楽章「序曲」、第2楽章「レシタティーフ」、第3楽章「オスティナート」の3つの楽章で構成されています。
 ダリウス・ミヨー(1892〜1974)の組曲「ルネ王の暖炉」は1939年の映画「愛の騎馬行進」から木管五重奏のためにミヨー自身が編曲したものです。7つの小品で構成されています。第1曲「行列」から温かみのある優しい響きが流れます。フランスの管楽作品の傑作と言ってもよいほど素晴らしい作品です。第2曲「オーバード(朝の歌)」なども良い響きです。第3曲「軽業師」ではフルートのきらめき、第4曲「ラ・マウザングラード」ではオーボエの哀愁的な響きが聴きどころです。第5曲「アルク河での馬上試合」や第6曲「ヴァラブルでの狩」ではホルンの響きが素晴らしい。第7曲「マドリガル・ノクチュルヌ」ではノクターンらしい響きがあります。
 ポール・タファネル(1844〜1908)の「木管五重奏曲」は1876年の作品。第1楽章「アレグロ・コン・モート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ヴィヴァーチェ」の3つの楽章で構成されています。第2楽章ではホルンのソロがあります。第3楽章「ヴィヴァーチェ」は速いリズムのフレーズが聴きどころです。
 ジェルジ・リゲティ(1923〜2006)の「6つのバガテル」はピアノ作品から1953年に6曲を選んで木管五重奏のために編曲したものです。この作品では半音の使用を1曲ごとに増やしていくという手法で6曲目には12音を使うといったもので不協和音の絶妙な響きを聴くことができる作品です。
 アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー(1871〜1942)の「木管五重奏のためのフモレスケ」は1939年アメリカに亡命してからの作品。大変良い響きの流れる作品でそれぞれの楽器のソロが飛び交う小品です。
 サミュエル・バーバー(1910〜1981)の「夏の音楽」は1953年の作品。アメリカのデトロイトの室内楽協会の委嘱作品で、アメリカの管楽作品の名作です。アメリカの夏を表現したようで中間にオーボエが歌う夏の気だるさが印象的です。
 シャンドール・ヴェレシュ(1907〜1992)はハンガリーの作曲家です。「オーボエ、クラリネットとバスーンのためのソナチネ」は1931年の作品。3つのリード楽器による演奏はやわらかな、そして明るい響きの広がるもので3つの楽章を聴いていると、その相性の良さ、絶妙な和音が素晴らしいです。
 パウル・ヒンデミット(1895〜1963)の「5つの管楽器のための小室内音楽」は1922年の作品。ヒンデミット27歳の初期の作品です。5つの楽章で構成されています。第2楽章ではホルンとバソンが作り出す和音と、それぞれがソロを歌うなど聴きごたえがあります。第3楽章「穏やかに」は良い響きです。ヒンデミット初期の作品には美しさが感じられます。第4楽章では速いフレーズと優雅なソロが交互に演奏されるのが面白いです。第5楽章は速いテンポで良いアンサンブルが聴かれます。


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