ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

レ・ヴァン・フランセ / 管楽器とピアノのための作品集
CD(WANER CLASSICS 0825646231850)

レ・ヴァン・フランセ / 管楽器とピアノのための作品集
CD1
1.プーランク/ピアノと管楽のための六重奏曲FP100
2.ファランク/六重奏曲ハ短調Op40
3.ルーセル/ピアノと木管五重奏のための
            ディヴェルティスマンOp6
4.カプレ/ピアノと管楽器のための五重奏曲
CD2
5.モーツァルト/ピアノと管楽器のための
                五重奏曲変ホ長調K452
6.ベートーヴェン/ピアノと管楽器のための
                五重奏曲変ホ長調Op16
CD3
7.トゥイレ/ピアノと管楽五重奏のための
                 六重奏曲変ロ長調Op6
8.リムスキー・コルサコフ/ピアノと管楽器のため
                  五重奏曲変ロ長調

 レ・ヴァン・フランセ
 エマニュエル・パユ(フルート) 
 フランソワ・ルルー(オーボエ)
 ポール・メイエ(クラリネット)
 ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
 ジルベール・オーダン(バソン)
 エリック・ル・サージュ(ピアノ)
 録音 2014年1月9〜11日
          5月19&20日  
 バイエルン放送ミュンヘン・スタジオ2

 レヴァン・フランセのアルバム「 管楽器とピアノのための作品集」です。モーツァルトからプーランクまでこの分野の名曲が録音されています。珍しい女性作曲家ファランクの作品が収録されています。
 フランシス・プーランク(1899〜1963)の「ピアノと管楽のための六重奏曲」は1930〜32年の作品。フランスの管楽器の響きを楽しめる名曲です。3つの楽章で構成されています。第1楽章冒頭から踊るようなリズムと絶妙なアンサンブルが聴かれます。
 ルイーズ・ファランク(1804〜1875)はフランスの女性作曲家、六重奏曲ハ短調は1852年の作品。19世紀ロマン派らしい響きの作品です。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3つの楽章で構成されています。第1楽章ではピアノの響きはシューベルトを思わせるきらめきが美しいです。第2楽章はモーツァルトを聴いているかのような美しさがあります。第3楽章はピアノと管楽器の対話、追いかけるようなフレーズの連続が面白いです。
 アルベール・ルーセル(1869〜1937)の「ピアノと木管五重奏のためのディヴェルティスマン」は1906年の作品で短い小品です。ドビュッシー風のピアノと明るい響きの管楽器とホルンのアンサンブルが素晴らしい。
 アンドレ・カプレ(1878〜1925)の「ピアノと管楽器のための五重奏曲」は1899年の作品。4つの楽章で構成されています。ピアノと木管だけでホルンは入りません。楽しそうな雰囲気の作品です。第3楽章のスケルツォはフランスの作品らしい楽しさを感じます。
 モーツァルトのピアノと管楽器のための五重奏曲はフルートが抜けた木管五重奏とピアノのための作品でこの組み合わせの代表作のひとつです。1784年モーツァルト28歳の時の作品です。古くから演奏されています。さすがにレヴァン・フランセの演奏は素晴らしいです。優しさと神々しさを感じさせます。
 ベートーヴェンの「ピアノと管楽の為の五重奏曲」も同じ変ホ長調でモーツァルト同様に愛されています。1796年ベートーヴェン25歳の頃に書かれています。モーツァルトよりもピアノのパートが重厚な作品です。なによりも第1楽章主部ではピアノが主題を提示しています。この作品ではモーツァルトとは異なる緊張感があります。ヴラトコヴィチのホルンもよく響きます。
 ルートヴィヒ・トゥイレ(1861〜1907)はオーストリア出身。「ピアノと管楽五重奏のための六重奏曲」は1888年に書かれた彼の代表作。4つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・モデラート」は管楽器の響きの良さが際立っています。ホルンの主題も滑らかです。この作品では各楽器のソロがきれいに響きます。第2楽章「ラルゲット」ではホルンの美しい響きが素晴らしい。第3楽章の「ガヴォット」は楽しさあふれる演奏です。第4楽章のヴィヴァーチェは物語を感じさせる快適なテンポの音楽です。
 リムスキー・コルサコフ(1844〜1908)の「ピアノと管楽器のための五重奏曲」は1876年の作品。フルート、クラリネット、バソン、ホルンとピアノの五重奏です。木管楽器でオーボエではなくフルートが使われていますので華やかな響きになっています。この五重奏曲ではホルンに重要な主題を吹かせていてリムスキーのホルンへの愛着が感じられます。そして第2楽章「アンダンテ」では冒頭からがホルンのソロがあってホルンとピアノのノクターンのようです。そして楽章を通してホルンが主題を吹くというほとんどホルン五重奏曲のようになっています。ヴラトコヴィチのホルンが素晴らしい。第3楽章「ロンド」はアレグレットでは木管の楽しそうな主題が流れます。ロンドBでようやくホルンのソロが聞かれますがほとんど木管が主役になっています。3つの楽章で28分ほどの大曲です。


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