スティーヴン・スターリング

ダンヒル/ホルン五重奏曲集
CD(DUTTON CDLX7152)

トーマス・ダンヒル/室内楽作品集
1.ホルン五重奏曲ヘ短調「Nitor in Adversum」Op6
     (ジョン・ハンフリーズ校訂)
2.ヴァイオリン、ヴィオラと
         ピアノのための幻想曲Op36
3.ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ホルンと
      ピアノのための五重奏曲変ホ長調Op3

   クリシア・オソストウィッツ(ヴァイオリン)(1〜3)
   フィオナ・マッカプラ(ヴァオリン)(1)
   デイヴィッド・アダムス(ヴィオラ)(1&2)
   ジェーン・サルモン(チェロ)(1&3)
   マーク・ヴァン・デ・ウィール(クラリネット)(3)
   スティーヴン・スターリング(ホルン)(1&3)
   マイケル・ドゥシェク(ピアノ)(2&3)
    録音 2005年1月27〜29日
       ヘンリー・ウッド・ホール

 トーマス・フレデリック・ダンヒル(1877〜1946)の室内楽作品です。録音は2005年1月に亡くなった作曲者のご子息を追悼して行われました。
  ホルン五重奏曲はジョン・ハンフリーズの校訂で世界初録音です。ヘ短調でラテン語の副題があり「Nitor in Adversum(不利になる)」というのはいかなることかわかりませんが、ヘ短調のやや暗い響きの作品です。弦楽四重奏に包まれたホルンの音色が大変きれいです。第1楽章は起伏が少なくセレナードのようです。作曲は1899〜1900年で19世紀末の作品です。ロマン的な作風で弦楽の響きが素晴らしく、イギリス伝統の弦楽作品の流れに沿っているようです。スターリングのホルンは目立ちすぎることなくソロ楽器というよりもアンサンブルの一員のようです。第2楽章:アンダンティーノの雰囲気も同様です。第3楽章も短調のくらい響きで追悼音楽のようで、ホルンパートは技巧を要求することはなくセレナード調の美しい音楽になっています。
  ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための幻想曲は1911年の作品、ピアノ・トリオとしてはチェロではなくヴィオラの音色を生かしたトリオといえます。単一楽章で、音楽はブラームスを彷彿させるもので思わず聞き入ってしまいます。
  ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ホルンとピアノのための五重奏曲はダンヒルの学生時代の作品。ピアノ・トリオにソロ楽器としてクラリネットとホルンを加えているもので第1楽章にはピアノ伴奏でホルンのソロが入ります。なかなか面白い作品です。クラリネットとホルンの相性はピッタリですからこの組み合わせは良い響きを作り出します。第2楽章:アレグレットはブラームスのクラリネット三重奏曲にホルンが加わったような響きになっています。スタンフォードの影響が大きいものと思われますが、その響きの良さは気持ちの良いものです。速いテンポの第3楽章:プレスティッシモはブラームスのホルン三重奏にクラリネットが加わったようなとてもきれいな楽章です。


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