バリー・タックウェル

モーツァルト/ホルン協奏曲全集、ロンド(1971)
CD(EMI TOCE−13076)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集、
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
5.フラグメント ホ長調K494a
6.ロンド変ホ長調K371(タックウェル編)

  バリー・タックウェル(ホルン)
  サー・ネヴィル・マリナー指揮
    アカデミー室内管弦楽団
   録音 1971年5月17〜21日

 タックウェル2度目の全集です。10年前の1回目の録音と比べると明るく楽天的な歌があり、モーツァルトを楽しんでいました。深みのある響きのホルンを音を割ってまで吹きまくり、モーツァルトの楽しさを教えてくれました。これほどご機嫌なモーツァルトはありません。彼の4度の録音の中でもダントツ楽しいコンチェルトです。
 第1番の流麗なホルンは当時のLPレコードからは斬新な演奏に聞こえました。大変なめらかに吹いておりマリナーのサポートの素晴らしさも見逃せないでしょう。第2楽章の滑らかな演奏がまた素晴らしい。
 第2番の演奏はブレインに匹敵する名演です。マリナーは4人のホルン奏者とこの全集を録音していますが、このタックウェルとの録音は最も完成度が高いものといえます。勢いがあり、なおかつレガートのうまさ音楽的表現力の豊かさは抜群です。第3楽章ロンドの素晴らしさはもろ手を挙げて賞賛したいです。タンギングの鮮やかなこと、音を割ってまでも強烈な響きを出して印象付けるなど感動を超えて感嘆の声をあげたいです。
 第3番はオーケストラにクラリネットとファゴットが入ることで響きの違いがホルンをよけいに引き立てる名曲です。美しい主題を流麗なホルンが歌うこの演奏は最高でしょう。カデンツァは短いながらも中身の濃い演奏です。第2楽章・ロマンツェの音楽性豊かな表現、第3楽章:ロンドの力強い演奏はタックウェルの独壇場のようです。ここでもマリナーのサポートの素晴らしさに頭が下がります。
 第4番はなんとも壮大な音楽になっているような気がします。奥深い響きのホルンが強弱のメリハリをつけて吹きまくるこの演奏は何度聞いても感心します。カデンツァは短いですがその勢いのある演奏は他では聴かれない見事さがあります。第3楽章:ロンドの勢いのある演奏は舌をまくほどで見事としかいいようがありません。低音の響きが魅力です。コーダ前に短いカデンツァが入ります。
 フラグメント ホ長調は2度目の録音で、これ以後度々演奏されるようになりました。前奏が長くソロが始まると間もなくオーケストラがなくなります。この未完の楽章をタックウェルは4度録音しています。
 また初めてロンドK371を録音しました。オーケストレーションは彼の手になるものです。まさにダイナミックな演奏でカデンツァもきれいです。(2004年発売)


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