バリー・タックウェル

シューベルト/八重奏曲ヘ長調
CD(WANERI CD-13)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
 ロバート・マスターズ(ヴァイオリン)
 エルンスト・ワルフィッシュ(ヴィオラ)
 モーリス・ジャンドロン(チェロ)
 ユージン・クラフト(コントラバス)
 ジェルヴァース・ドゥ・ペイエ(クラリネット)
 アーチー・キャムデン(ファゴット)
 バリー・タックウェル(ホルン)
 録音1963年8月30&31日
   アビー・ロード・スタジオ

 メニューイン、ジャンドロン、タックウェル他の名手たちにによるシューベルトの八重奏曲です。ロンドンで録音されています。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョは緊張感があります。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが良い響きを出しています。続くタックウェルのホルンも滑らかで素晴らしい響きを出しています。展開部はメニューインのヴァイオリンの際立つ美しい響き、ジャンドロンの気迫の満ちたチェロが素晴らしいです。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらタックウェルのホルンが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはドゥ・ペイエのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。ヴァイオリンのソロ、クラリネットとファゴットのユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではタックウェルのホルンのソロが美しい響きで歌われます。そしてホルンとヴァイオリンとの対話もまた大変よい響きです。チェロの深い響きもまた聴きものです。ファゴットの響きもきれいです。コーダのコントラバスのピツィカートは大変よく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。勢いのある演奏は小さなオーケストラのようです。ドゥ・ペイエのクラリネットがきれいです。弦楽のアンサンブルが素晴らしいです。タックウェルのホルンも良い響きを出しています。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みが大変きれいです。第2変奏は勢いもあって良い響きを出しています。第3変奏はタックウェルのホルンが大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいに響きます。後半は特によい響きです。続くチェロの第4変奏もジャンドロンが良い響きを出しています。ヴァイオリンとクラリネットが対話しています。第5変奏は勢いがあり緊張感も感じられます。第6変奏はクラリネットと弦楽が素晴らしい響きです。第7変奏は管楽器の良い響きと弦楽の素晴らしいアンサンブルがあります。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットが歌う哀愁的な主題が弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。メニューインのヴァイオリンが際立っています。タックウェルのホルンが大変良く響きます。弦楽も優雅な響きのメヌエットです。トリオのファゴットも大変きれいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルでまとめています。緻密な演奏で大変良い響きを出しています。これは素晴らしい名演奏です。
演奏時間58分43秒。


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