ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

ペンデレツキ/ホルン協奏曲「冬の旅」(2015録音)
CD(LPO LPO-0116)

ペンデレツキ/作品集
1.ホルン協奏曲「冬の旅」(2008)
2.弦楽のためのアダージョ (1995/2013)
3.ヴァイオリン協奏曲第1番(1976)
4.広島の犠牲者に捧げる哀歌 (1960)

 ラドヴァン・ヴラトコヴィチホルン)(1)
 バルナバス・ケレメン(ヴァイオリン)(3)
 クシシュトフ・ペンデレツキ指揮(1、2&4)
 ミハウ・ドヴォジンスキ指揮(3)
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音2015年10月14日(1、2&4)
    2013年11月27日(3)
 ロイヤル・フェスティバル・ホール・ライヴ

 ポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキの作品集です。自作自演のライヴ録音になります。
 ホルン協奏曲「冬の旅」は2008年にヴラトコヴィチのために書かれて、日本で初演されています。2009年に録音していました。作品は単一楽章で、序奏と狩のロンドからできています。現代作品でありながら古典的スタイルを取り入れたロマン的な作品です。序奏ではパッサカリアの手法を取り入れています。狩りのロンドはホルンの響きの素晴らしいこと、オーケストラもよい響きです。21世紀のホルン協奏曲の中では名曲といえましょう。ヴラトコヴィチの演奏はここでも素晴らしいものです。副題の「冬の旅」は「冬の旅行」という意味で、ペンデレツキが冬に旅行した印象をこの作品に表現しているそうです。
 弦楽のためのアダージョは交響曲第3番の第3楽章を2013年に弦楽オーケストラのために編曲したものです。バーバーの同名作品のように哀愁を帯びた弦楽の響きが延々と続きます。大変素晴らしい演奏で弦楽の響きも素晴らしいものです。「ペンデレツキのアダージョ」といってもよいでしょう。
 ヴァイオリン協奏曲第1番は1976年にアイザック・スターンのために書いたものです。それまでのペンデレツキの作風を脱却したともいえそうな近代的な作品です。ヴァイオリン・ソロも過激ではなく、オーケストラも映画音楽のように雄大な音楽です。曲はアンダンテ/テンポ1/レント/行進曲風に/ピュー・モッソになっています。通して演奏されます。最後にカデンツァも演奏される40分の大作です。
 「広島の犠牲者に捧げる哀歌」は1960年の作品で、ペンデレツキの代名詞といえそうな作品です。大変過激的な響きが流れます。それだけ原爆の被害はすさまじいものということを表現していると思われます。ペンデレツキの自作自演ですから凄い音楽になっています。


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