ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

レ・ヴァン・フランセ/モダニスト/ニールセン/管楽五重奏曲、他
CD(WANER CLASSICS WPCS-13818/9)

モダニスト
1.ミヨー/フルート、オーボエ、クラリネットと
           ピアノのためのソナタ Op47
2.ジョリヴェ/セレナーデ(管楽五重奏のための)
3.マニャール/フルート、オーボエ、クラリネット、
       バスーンとピアノのための五重奏曲 Op8
4.エルサン/管楽五重奏とピアノのための六重奏
          「復活祭の歌」(世界初録音)
5.ニールセン/管楽五重奏曲Op43
6.エスケシュ/メカニック・ソング
         (管楽五重奏とピアノのための)

 レ・ヴァン・フランセ
 エマニュエル・パユ(フルート)(1〜6)
 フランソワ・ルルー(オーボエ)(1〜6)
 ポール・メイエ(クラリネット)(1〜6)
 ラドヴァン・ヴラトコヴィチ (ホルン)(2&4〜6)
 ジルベール・オダン(バスーン)(2〜6)
 エリック・ル・サージュ(ピアノ)(1、3、4&6)
 録音 2014年9月8〜10日(1)
     2016年4月3日(5)
     2017年1月3〜7日(2〜4&6)

 レ・ヴァン・フランセによる近現代の作品集です。
 ダリウス・ミヨー(1892〜1974)のフルート、オーボエ、クラリネットとピアノのためのソナタは1918年の作品。ミヨーがブラジルに滞在していたときに書かれています。4つの楽章で構成されています。第1楽章「静かに」、第2楽章「陽気に」、第3楽章「荒々しく」、第4楽章「苦悩に満ちて」となっています。第2楽章や第3楽章にはブラジルの音楽に影響されたようなリズムがあります。
 アンドレ・ジョリヴェ(1905〜1974)の「管楽五重奏のためのセレナーデ」は1945年にパリ音楽院の卒業試験の課題曲として書かれました。4つの楽章で構成されています。第1楽章「カンティレーヌ」、第2楽章「カプリース」、第3楽章「間奏曲」、第4楽章「ブルレスク風行進曲」となっています。第2楽章の「カプリース」は激しい動きがジョリヴェらしいです。第3楽章の「間奏曲」は少しほっとした気分になりますが、さすがにオーボエ、フルートの高音域には神経質に聞こえてきます。
 アルベリク・マニャール(1865〜1914)の「フルート、オーボエ、クラリネット、バスーンとピアノのための五重奏曲」は1894年の作品。4つの楽章で構成されています。第1楽章「暗く」、第2楽章「柔和に」、第3楽章「軽快に」、第4楽章「喜ばしげに」となっています。第1楽章はピアノと木管という編成で華麗な響きになっています。暗くは感じられません。第2楽章は遅いテンポで柔らかい響きの木管が美しいです。第3楽章は軽快な演奏、第4楽章はまさに喜びに満ちたような響きが聴かれます。
 フィリップ・エルサン(1948〜)の管楽五重奏とピアノのための六重奏曲「復活祭の歌」はレ・ヴァン・フランセの委嘱作品で、これが世界初録音です。初演は2016年8月3日のプロヴァンス音楽祭でした。この作品は「復活祭のコラール」を主題とする変奏曲になっています。ホルンの演奏がよく響きます。
 カール・ニールセン(1865〜1931)の管楽器のための五重奏曲はニールセンの室内楽の代表的な作品といえます。3つの楽章で構成され、フルート、ホルン、クラリネット、オーボエ、ファゴットの5つの楽器が作り出す北欧独特の響きは他ではなかなか聞かれそうにもありません。第1楽章「アレグロ・ベン・モデラート」はホルンの抒情的な主題が冒頭から歌われます。フルートも華やかに響きます。この作品は大変雄大さを感じさせるもので、小さなシンフォニーのようです。ヴラトコヴィチのホルンが大変素晴らしい演奏になっています。第2楽章「メヌエット」はほどよいテンポで演奏しています。フルート、オーボエ、クラリネットが楽しそうに響きます。第3楽章はアダージョに続いて主題と変奏になります。ホルンの変奏はよい響きです。フルートの変奏では華麗な響きが流れます。後半のホルンの変奏は独奏でカデンツァのように素晴らしいです。
 ティエリー・エスケシュ(1965〜)の管楽五重奏とピアノのためのメカニック・ソングはレ・ヴァン・フランセの委嘱作品で、これも世界初録音です。この作品は2007年2月6日に日本で初演されています。コラール風の主題と変奏曲です。現代作品ながらも時には古典的な響きも出していますが、やはり作品としてはかなり過激な現代作品といって良いでしょう。


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