ゲルト・ザイフェルト

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
CD(DGG UCCG-9466 419 057-2)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495

  ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
    ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 1968年8月18〜22日

  このアルバムは夏のシーズン・オフにスイスのサンモリッツでカラヤンが小編成の曲を録音した中の1枚でした。ザイフェルトは入団6年目、37才のときの録音です。
 ホルン協奏曲第1番はザイフェルトの演奏が実にきれいなレガートでモーツァルトを吹いています。そのうまさは低音から高音まで安定した音色で何の苦も無く吹いているかのようです。第2楽章も滑らかな演奏になっています。
 ホルン協奏曲第2番はレガートのきれいなホルンが流れます。ザイフェルトが自由に吹いていますのでオーケストラと合わないところもありますが、そこはカラヤンが認めたことですからよいのでしょう。次第に熱がこもってきます。第2楽章は大変きれいな響きでホルンが歌います。弦楽もきれいです。第3楽章のロンドはホルンがレガートで滑らかに演奏しています。オーケストラは力が入っています。コーダ前のテンポは落としています
 ホルン協奏曲第3番は冒頭でホルンが吹くはずの「ドー・ソー・ド」が入りません。またそのあとに吹くはずの「ソソソ ソソミド、ソ、ソ」まで吹いていないことには驚きました。ソロに入るとレガートと巧みなタンギングで朗々と吹いています。カラヤンの引き出す弦楽の響きも絶品ですからオーケストラの部分のきれいなことはいうまでもありません。カデンツァは同じベルリン・フィルのマンフレート・クリエールの作で大変長いものですが見事な演奏です。第2楽章:ロマンツェのゆったりとした演奏は素晴らしい。ここはカラヤンの腕の見せどころでしょう。ホルンと弦楽の美しさはさすがです。第3楽章のアレグロは快適なテンポ、勢いのある演奏はオーケストラもホルンも素晴らしいです。
 ホルン協奏曲第4番の序奏はカラヤンが伴奏にも力をいかに入れたかがわかります。ソロは引き立てて、ソロのないところはオーケストラを力強く演奏する当たり前のこともカラヤンにかかると違うものです。カデンツァはクリエールの作でこちらも長いです。ザイフェルトのホルンは滑らかです。第2楽章のロマンツェは優しい響きのホルンが歌います。第3楽章のロンドは軽快なホルン、勢いのあるオーケストラがさわやかです。ザイフェルトのホルンが乗りに乗ったモーツァルトです。コーダ前にカデンツァは入りませんが、カラヤンとザイフェルトのモーツァルトもまた良い演奏です。
(2003年発売のユニバーサル盤)


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