ヤコフ・シャピロ

ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調
CD(DOREMI DHR-7921-5)5枚

ピアノ三重奏曲集
CD1
1.ハイドン/ピアノ三重奏曲第28番
          ニ長調Hob.]X-16
2.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第7番
             変ロ長調Op97「大公」
CD2
3.ハイドン/ピアノ三重奏曲第33番
           ト長調Hob.]X-19
4.モーツァルト/ピアノ三重奏曲第7番ト長調K564
5.  〃    /ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調K254
6.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第9番
                   変ホ長調WoO.38
CD3
7.チャイコフスキー/ピアノ三重奏曲イ短調Op50
         「偉大な芸術家の思い出に」
8.サン=サーンス/ピアノ三重奏曲第1番
                 ヘ長調Op18
CD4
9.ハイドン/ピアノ三重奏曲第28番
               ニ長調Hob.]X-16
10.シューマン/ピアノ三重奏曲第1番ニ短調Op63
11.ショスタコーヴィチ/ピアノ三重奏曲第2番
                   ホ短調Op67
CD5
12.ボロディン/ピアノ三重奏曲番ニ長調
13.フォーレ/ピアノ四重奏曲第1番ハ短調Op15
14.ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調Op40

 レオニード・コーガン(ヴァイオリン)(1〜11,13&14)
 エミール・ギレリス(ピアノ)(1〜14)
 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
              (1〜11&13)
 ドミトリ・ツィガノフ(ヴァイオリン)(12)
 セルゲイ・シリンスキー(チェロ)(12)
 ルドルフ・バルシャイ(ヴィオラ)(13)
 ヤコフ・シャピロ(ホルン)(14)
 録音 1951年(1)1956年(2)
     1952年(3〜5&7)1950年(6&12)
     1953年(8)
     1959年2月28日(9&11)
     1958年8月8日(10)
     1958年(13)
     1951年2月25日(14)   

 ギレリス、コーガンとロストロポーヴィチによるピアノ・トリオ作品集です。
 ハイドンのピアノ・トリオは45曲ほどありますが、第28番は1789〜90年に書かれています。モーツァルトのように美しい主題が流れます。1951年の録音はモノラルながらみずみずしい音で聴かれます。
 ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番変ロ長調は「大公トリオ」と呼ばれ、ピアノ・トリオの王様的な作品です。たくさんの名演がありますが、ギレリス、コーガン、ロストロポーヴィチのトリオはベートーヴェンのっしりした構築性を感じさせるものです。感性ゆたかなギレリスのピアノタッチ、ロストロポーヴィチの熱いチェロ、そて繊細なコーガンのヴァイオリンが素晴らしい。
 ハイドンのピアノ三重奏曲第33番は1793〜94年の作品。第1楽章の美しさは通奏低音付のヴァイオリン・ソナタのように聞こえることもあってその美しさは飽きることのないものです。 
 モーツァルトのピアノ三重奏曲第7番ト長調は1788年の作品。ハイドンとの違いはピアノのパートの細やかなことでしょう。モーツァルトの世界は独特です。ロストロポーヴィチのチェロが厚いです。
モーツァルトのピアノ三重奏曲第1番変ロ長調は1776年の作品。明るさを感じさせる作品でこちらは通奏低音付のヴァイオリン・ソナタ風です。コーガンのヴァイオリンが素晴らしい。
 チャイコフスキーのピアノ三重奏曲イ短調「偉大な芸術家の思い出に」はチャイコフスキー唯一のピアノ・トリオです。冒頭から悲しみに満ちた主題が流れます。これは1881〜82年友人ニコライ・ルービンシュタインの追悼のために書かれた作品です。2つの楽章で構成され、第2楽章は12の変奏曲と終曲になっています。ギレリスのピアノ、コーガンの哀愁的なヴァイオリンと力強いロストロポーヴィチのチェロが作り出す響きは感動に満ちています。1952年の録音とは思えない美しさです。
 サン=サーンスのピアノ三重奏曲第1番ヘ長調は1869年の作品。34歳当時に書かれたこのピアノ・トリオはピアノ協奏曲第3番と同時期に書かれていてピアノの豪快な響きとヴァイオリンとチェロを対等に歌わせる名作です。
 ディスク4のハイドンのピアノ三重奏曲第28番はディスク1の作品と同じです。こちらは1959年2月28日にロンドンで演奏されたもののライヴ録音です。演奏はもちろん素晴らしいものです。 
 シューマンのピアノ三重奏曲第1番ニ短調は1847年の作品で妻のクララ・シューマンの誕生日に送られたものです。優しさを感じさせる音楽です。
 ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番ホ短調は1944年ショスタコーヴィチの親友ソレルチンスキーの追悼のために書かれました。4つの楽章で構成され、第1楽章:アンダンテの静かで死を悼むように演奏する冒頭は印象的です。第2楽章のアレグロ・ノン・トロッポはショスタコーヴィチの世界が広がります。 
ボロディンのピアノ三重奏曲番ニ長調は1860〜61年に書かれています。第1楽章;アレグロ・コン・ブリオ、第2楽章:アンダンテ、第3楽章:間奏曲で終わっていてフィナーレを書かずに終わっています。未完作品の多いボロディンの作品の中では
演奏機会の少ない作品ですが、録音があることは喜ばしいです。なお、この演奏ではギレリスのピアノ、ツィガノフのヴァイオリン、シリンスキーのチェロになっています。
 フォーレのピアノ四重奏曲第1番は1879年の作。ここではギレリス、コーガン、ロストロポーヴィチのトリオにルドルフ・バルシャイのヴィオラが加わって絶妙な響きになっています。
 ブラームスのホルン三重奏曲は1865年の作品。ギレリス、コーガンとソ連の名手ヤコフ・シャピロによる演奏です。このシャピロのホルンはビヴラートをきかせた明るい響きが特徴です。第1楽章の大変丁寧な演奏、第2楽章の鮮やかな演奏も見事です。そのテクニックは素晴らしく、あそこまで明るい音色を貫く努力には感服します。第3楽章:アダージョ・メストではホルンが目立ちすぎるほどの明るさです。第4楽章ではコーガンのヴァイオリンも力強く、シャピロのホルン、ギレリスのピアノとのぶつかり合いはまた緊張感があります。このホルン・トリオはモノラル初期の名盤といってよいでしょう。


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