バリー・タックウェル

バロック・ホルン協奏曲集
CD(DECCA 417 406−2)

バロック・ホルン協奏曲集
1.クネヒトル/ホルン協奏曲ニ長調
2.ラインハルト/ホルン協奏曲変ホ長調
3.クヴァンツ/ホルン協奏曲第3番変ホ長調
4.  〃   /ホルン協奏曲第9番変ホ長調
5.グラウン/ホルン協奏曲ニ長調
6.レーリッヒ/ホルン協奏曲第14番変ホ長調
7.  〃  /ホルン協奏曲第15番ニ長調

  バリー・タックウェル(ホルン)
  アイオナ・ブラウン指揮 
     アカデミー室内管弦楽団
    録音 1985年9月

 この7曲のホルン協奏曲はタックウェルが見い出したドイツのホルン協奏曲です。この録音は世界初録音でした。
 どの曲もナチュラルホルンのために書かれた愛らしい曲ばかりです。タックウェルは現代のホルンで吹いていますのでとても楽しい曲に聞こえてきます。

 クネヒトルのホルン協奏曲ニ長調は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」です。第1楽章からハイトーンが多く使われます。ナチュラルホルンは自然倍音を使うことで音色がきれいに出るからです。タックウェルの演奏は素晴らしい響きです。第2楽章もきれいな主題をハイトーンを多く使って歌います。第3楽章のアレグロはここでもハイトーンを使って軽快に演奏しています。タックウェルのホルンが素晴らしいです。
 ラインハルトのホルン協奏曲変ホ長調は第1楽章「モデラート」、第2楽章「シチリアーノ」、第3楽章「アレグロ・マ・ノン・プレスト」です。第1楽章は中低音をよく使う主題が歌われます。まさにホルン協奏曲らしい演奏です。重低音も使われます。第2楽章のシチリアーノはここでも中低音がよく使われています。きれいな主題です。第3楽章は軽やかなホルンで見事な演奏です。低音も使います。
 クヴァンツのホルン協奏曲第3番変ホ長調は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・カンタービレ」、第3楽章「アレグロ」です。第1楽章はホルンが大変軽快な主題を楽しそうに演奏しています。ナチュラルホルンだったら困難そうな細やかなフレーズが続きます。第2楽章のアダージョは穏やかに美しい主題が歌われます。第3楽章は狩りのロンドのように楽しそうに演奏しています。タックウェルのホルンは素晴らしい響きです。
 クヴァンツのホルン協奏曲第9番変ホ長調は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「シチリアーノ(ラルゲット)」、第3楽章「アレグロ」です。第1楽章はモーツァルトのようにきれいな主題がホルンで歌われます。第2楽章は弦楽の美しい序奏に始まってホルンの華やかな主題が歌われます。シチリアーノらしく美しい演奏です。第3楽章は賑やかとも言えそうな楽しそうなホルンが歌われます。クヴァンツの代表的ともいえる音楽です。見事な演奏です。
 グラウンのホルン協奏曲ニ長調は第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」です。第1楽章はきれいな序奏に続いて美しいホルンの主題が歌われます。第2楽章は穏やかに美しいホルンが歌われます。タックウェルのホルンの美しい響きが聴かれます。第3楽章は軽快な序奏があって、ホルンの素晴らしい演奏が聴かれます。狩りのロンドのようです。
 レーリッヒのホルン協奏曲第14番変ホ長調は第1楽章「モデラート」、第2楽章「シチリアーノ」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」です。第1楽章はレーリッヒ独特の弦楽の美しい響きに始まります。ホルンはハイトーンも使いながらの素晴らしい演奏です。装飾音が使われて華やかな響きです。トリルを使いますのできついかもしれませんが、タックウェルのホルンは見事な演奏です。第2楽章のシチリアーノはここでもハイトーンを使いますので華麗な響きになります。素晴らしい演奏です。第3楽章はメヌエットで弦楽のきれいな演奏に続いてホルンが楽しそうに歌います。見事な演奏です。
 レーリッヒのホルン協奏曲第15番ニ長調は第1楽章「アレグロ・マ・ノン・モルト」、第2楽章「シチリアーノ」、第3楽章「アレグロ(テンポ・ディ・メヌエット)」です。第1楽章は序奏が楽しそうに始まります。ホルンは中高音を使う華やかな主題を歌います。間奏のあとにまた華やかなホルンの演奏があります。後半には中低音も使われています。第2楽章はシチリアーノですが、ホルンは細やかな主題を歌います。ハイトーンも使う素晴らしい演奏です。第3楽章はメヌエットで弦楽のきれいな演奏に続いてホルンが楽しそうに歌います。タックウェルのホルンは最高の演奏です。ホルンの音色がタックウェル独特の響きです。このアルバムはタックウェルも満足だったことでしょう。超名演といえます。


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