ピエール・デル・ヴェスコーヴォ

モーツァルト/協奏交響曲変ホ長調K297b
CD(Green Door GDCL-0057/58)2枚組

パリのモーツァルト
CD1
1.交響曲第31番二長調K.297「パリ」 
2.協奏交響曲変ホ長調K.297b
3.大序曲変ロ長調K.311a
  ピエール・ピエルロ(オーボエ)(2)
  ジャック・ランスロ(クラリネット)(2)
  ピエール・デル・ヴェスコーヴォ(ホルン)(2)
  ポール・オンニュ(ファゴット)(2)
  フェルナン・ウーブラドゥ指揮
   フェルナン・ウーブラドゥ室内管弦楽団(1〜3)
    録音1955年10月(1〜3)
CD2
1.ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310
2.「美しいフランソワーズ」による12の変奏曲
                   変ホ長調K.353
3.「リゾンは森で眠っていた」による
                9つの変奏曲K.264
4.前奏曲(カプリチオ)ハ長調K.395
5.ヴァイオリン・ソナタ第28番ホ短調K.304
6.ハープシコードとヴァイオリンのための
                   協奏曲K追加56
7.ハープシコードとヴァイオリンのためのソナタ
                   ハ長調K.6
8.ハープシコードとヴァイオリンのためのソナタ
                   ニ長調K.7

  ラザール・レヴィ(ピアノ)(1)
  ジャン・ドワイヤンピアノ)(2)
  ジャンヌ=マリー・ダルレ(ピアノ)(3&4)
  ローラン・シャルミ(ヴァイオリン)(5)
  ヴラド・ペルルミュ−テル(ピアノ)
ロヴェール・ヴェイロン=ラクロワ(クラヴサン)(6〜8)
  ジャック・デュモン(ヴァイオリン)(6〜8)
  フェルナン・ウーブラドゥ指揮
   フェルナン・ウーブラドゥ室内管弦楽団(6)
    録音1950年代

 フランスのパテ社がモーツァルトの生誕200年を記念して録音した一連のアルバムの中の1つです。この企画はフェルナン・ウーブラドゥが録音と監修をしました。
 「パリのモーツァルト」といえばやはり交響曲第31番二長調K.297「パリ」が最初にくるのは当然でしょう。22歳のときの作品でモーツァルトが交響曲に初めてクラリネットを使ったものです。それはパリのオーケストラのためでした。なおこの録音では初稿らしく4つの楽章が演奏されています。パリの香りがゆたかな演奏です。
 オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調はパリで作曲された作品として有名です。当時モーツァルトはマンハイム学派の影響を受けてこの協奏交響曲を作曲したようです。ソリストはパリの名手オーボエにピエルロ、クラリネットのランスロ、ホルンのデル・ヴェスコーヴォ、バスーンのオンニュです。ヴェスコーヴォは唯一の録音で、他の3人はステレオ録音をバルボトゥとしています。ヴェスコーヴォのホルンはビヴラートの利いた明るい音色で今では聞かれないホルンです。この演奏は20世紀フランスの管楽器の明るい響きを録音したものとして後世に伝えたい名盤です。現代フランスではピストンホルンを使っていないので個性が乏しくなっただけにこの録音は懐かしく感じます。ピエルロやランスロの演奏も素晴らしい。
 大序曲変ロ長調K.311aは紛失した交響曲ともいわれ、「アンダンテ・パストラーレ〜アレグロ・スピリトーソ」の単一楽章です。
 CD2にはピアノ作品とヴァイオリン、クラヴサンの作品があり、当時フランスで活躍していた演奏家の録音が収録されています。
 ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310はモーツァルトのピアノ・ソナタでは第11番「トルコ行進曲付」と共に愛されるソナタといえます。レヴィの演奏は愛らしいモーツァルトを表現しているようです。
 「美しいフランソワーズ」による12の変奏曲変ホ長調K.353と「リゾンは森で眠っていた」による9つの変奏曲K.264は1778年パリ滞在中の作品と思われますがモーツァルト得意の変奏曲です。モーツァルトはピアノのために多くの変奏曲を残しました。前奏曲(カプリチオ)ハ長調K.395も同じ頃の作品です。
 ヴァイオリン・ソナタ第28(21)番ホ短調K.304も1778年ころの作品。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタといえばこの作品の主題を思い出します。ローラン・シャルミのヴァイオリンと巨匠ヴラド・ペルルミュ−テルのピアノによる演奏はまさに名演。
 ハープシコード(クラヴサン)とヴァイオリンのための協奏曲K追加56は未完の作品で4分足らずの作品ですが、途中で音楽が切れるというのはモーツァルトでは他にも同じようなフラグメントがあり、この作品も同じです。
 ハープシコードとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調K.6とニ長調K.7はヴァイリン声部つきのクラヴサン・ソナタで7〜8歳のころに作曲され1764年にパリで出版されていました。ジャック・デュモンのヴァイオリンとロヴェール・ヴェイロン=ラクロワのクラヴサンによる演奏は父レオポルドに連れられてパリを旅行した当時、喝采を浴びた神童モーツァルトを彷彿させます。


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