ピエール・デル・ヴェスコーヴォ

モーツァルト/ホルン協奏曲第2番変ホ長調
CD(EMI 7243 5852342 3)2枚組

フェルナン・ウーブラドゥの芸術
CD1
1.ストラヴィンスキー/兵士の物語
CD2
2.モーツァルト/ホルン協奏曲第3番変ホ長調
3.  〃    /クラリネット協奏曲イ長調
4.  〃    /ホルン協奏曲第2番変ホ長調
5.グレトリ/フルート協奏曲ハ長調

  ジャン・マルシャ(語り)(1)
  マルセル・エラン(悪魔)(1)
  ミシェル・オークレール(兵士)(1)
  ピエール・ルフェーブル(クラリネット)(1)
  ポール・オンニュ(ファゴット)(1)
  ロジェ・デルモット(トランペット)(1)
  フェルナン・ウーブラドゥ指揮
    器楽アンサンブル(1)
  ルシアン・テヴェ(ホルン)(2)
  ユリス・ドレクリューズ(クラリネット)(3)
  ピエール・デル・ヴェスコーヴォ(ホルン)(4)
  ジャン=ピエール・ランパル(フルート)(5)
  フェルナン・ウーブラドゥ指揮
    フェルナン・ウーブラドゥ室内管弦楽団(2&3)
    パリ室内管弦楽団(4&5)
    録音  1952年6月30日(1)
         1952年2月18日(2)
         1952年2月(3)
         1955年1月4日(4)
         1955年1月12日(5)

 フェルナン・ウーブラドゥはクラリネット奏者ですが、指揮活動にもいくつかの録音があり、すべてが貴重なものです。ストラヴィンスキーの「兵士の物語」は当時のフランス映画界の名優を起用して録音しています。兵士のミシェル・オークレールはヴァイオリニストとは別人です。
 ルシアン・テヴェのモーツァルト3番はピストンホルンの明るくやわらかな響きが大変美しい響きです。伝説の録音のひとつです。ヴェスコーヴォの3番(モノラル録音)も同様な響きでしたが、テヴェのホルンは繊細で力みが無くフランスの香りただよう気品あふれる演奏です。面白いのはカデンツァです。カデンツァはどうかなと思ったらありません。全合奏のフェルマータのあとに1音入れてトリルで終わるというものです。あっけにとられます。しかしながらこの3番はきれいです。ロンドはやや遅いテンポですが明るく楽しい演奏です。
 クラリネット協奏曲はドレクリューズの名演奏が素晴らしい。パリ音楽院出身でギャルド・レピュブリケーヌの首席もつとめ後にパリ音楽院の教授に就任した名手です。明るく繊細な響きのクラリネットがたまりません。
 ヴェスコーヴォのモーツァルト2番は遅めのテンポの第1楽章がホルンの魅力をたっぷり味わえるものです。テヴェよりもビヴラートは大きいような感じを受けますが、むしろ響きの明るさのほうが大きく感じられます。ロンドもやや遅いテンポで軽やかに吹いています。フランスのホルンは高音域もきれいです。後年のステレオ録音では聴かれない明るさは懐かしさを感じます。
 最後のアンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ(1741〜1813)はフランスのオペラ作曲家で50曲以上のオペラを作曲しています。フルート協奏曲は1曲だけ残されています。ランパルの録音は後年のフルート奏者にレパートリーを与えてくれた功績としても大きいでしょう。モーツァルト時代のフランスの香りを感じさせる名演奏です。若いときのランパルのフルートは後年と比べてもほとんど変わりなく響きです。第3楽章の速いフレーズのうまさは流石に素晴らしい。


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