ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

レ・ヴァン・フランセ/協奏交響曲集
CD(WARNER 2CD 0190295704872)2枚組

協奏交響曲集
CD1
1.ダンツィ/フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、
    ファゴットのための協奏交響曲変ホ長調
2.モーツァルト/オーボエ、クラリネット、ホルン、
   ファゴットのための協奏交響曲変ホ長調K297b
CD2
3.ドヴィエンヌ/フルート、オーボエ、ホルン、
   ファゴットのための協奏交響曲第2番ヘ長調
4.ダンツィ/フルートとクラリネットのための
         協奏交響曲変ロ長調Op41
5.プレイエル/フルート、オーボエ、ホルン、
  ファゴットのための協奏交響曲第5番ヘ長調B115

 レ・ヴァン・フランセ
 エマニュエル・パユ(フルート)(1&3〜5)
 フランソワ・ルルー(オーボエ)(1〜3&5)
 ポール・メイエ(クラリネット)(1、2&4)
 ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)(1〜3&5)
 ジルベール・オーダン(ファゴット)(1〜3&5)
 ダニエル・ギグルベルガー指揮
  ミュンヘン室内管弦楽団 
 録音 2017年4月17〜21日

 レ・ヴァン・フランセによる古典派の協奏交響曲集です。同じ時代に生きた4人の作曲家の作品です。
 フランツ・ダンツィ(1763〜1826)のフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲変ホ長調は文字通り木管五重奏とオーケストラのための作品です。レ・ヴァン・フランセが録音したかった作品です。全員が参加できる唯一の作品です。作品は3つの楽章で構成されています。第1楽章では中間にホルンの長いソロがあります。それぞれの楽器にソロが与えられながらアンサンブルの楽しみがあるのは木管五重奏曲と同じです。第2楽章はクラリネットに始まって各楽器に受け継がれrていきます。アダージョの優雅な響きがあります。第3楽章はロンド、楽しい雰囲気の演奏が聴かれます。
 モーツァルト(1756〜1791)のオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲変ホ長調は管楽器のための協奏交響曲の代表作品です。第1楽章から4人の息の合った素晴らしい演奏が聴かれます。ホルンとファゴットがよく似た音色で和音の美しさは素晴らしいものがあります。そしてオーボエの流麗な演奏、モーツァルトの作品の美しさを見事に奏でています。ヴラトコヴィチのホルンも絶妙な響きです。カデンツァも良いアンサンブルです。第2楽章はモーツァルトのアダージョとしてもよくできた作品ですがこの5人の調和のとれた響きは絶品です。第3楽章はアンダンティーノと10の変奏曲になりますが、第2変奏ではファゴットとホルンが活躍します。第7変奏でもホルンとファゴットが活躍します。第9変奏ではホルンのソロがあります。細かいフレーズが演奏されます。なお、この楽章では変奏曲ごとにトラック分けしてありますので変奏の変わり目がよくわかります。演奏はとにかく素晴らしいものです。
 フランソワ・ドヴィエンヌ(1759〜1803)のフルート、オーボエ、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲第2番ヘ長調はクラリネットが抜ける四重奏とオーケストラのための作品です。3つの楽章で構成されています。第1楽章:アレグロは木管の美しい響きとホルンをうまく対話させるところが聴きどころです。ホルンの長いソロもきれいです。カデンツァもあります。4つの楽器の調和のとれた響きが聴かれます。第2楽章は短いアダージョですがオーボエ・ソロがきれいです。そして切れ目なく第3楽章に入ります。3楽章はメヌエットと5つの変奏になります。第1変奏ではフルートが演奏、第2変奏はファゴットのソロでの変奏、第3変奏はホルンのソロによる変奏に始まりフルートとファゴットが入ります。第4変奏はオーボエ・ソロによる変奏です。第5変奏は4つの楽器が仲良く変奏曲を演奏します。良い作品です。
 ダンツィのフルートとクラリネットのための協奏交響曲変ロ長調はフルートとクラリネットの2つの楽器がソロ楽器になります。3つの楽章で構成され、第1楽章はアレグロ・モデラート、長い序奏のあとにフルートとクラリネットの2つが溶け合いながら入ってきます。ダンツィはこの2つの楽器の扱いがうまいのですが、パユのフルートとメイエのクラリネットが絶妙な響きでフルートなのかクラリネットなのかわからないほど美しい響きが流れます。第2楽章はラルゲット、フルートとクラリネットの優しい響きでロマンティックな主題が歌われます。第3楽章はポロネーズ、実に楽しそうな主題がフルートとクラリネットで歌われます。
 イグナツ・プレイエル(1757〜1831)のフルート、オーボエ、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲第5番ヘ長調はドヴィエンヌの作品と同様にクラリネットが抜けた四重奏とオーケストラのための作品です。3つの楽章で構成され、第1楽章はアレグロ・コン・ブリオ、序奏の後にオーボエ、ホルン、フルート、ファゴットの順に主題が歌われて4つの楽器のアンサンブルになります。プレイエルの作品でもファゴットとホルンのきれいな和音が聴かれます。それぞれの楽器が歌いながら調和のとれた響きを作りだしています。そしてカデンツァがあります。第2楽章はメヌエットのテンポで、オーボエの美しい主題に始まり、フルートに受け継がれてやがてホルンで次にファゴットで美しい主題が歌われます。これは素晴らしい作品です。切れ目なく第3楽章のプレストに入って忙しく歌われます。短い楽章ですがカデンツァがあります。魅力的な作品です。


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