ラドヴァン・ヴラトコヴィチ

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
CD(EMI CC33−3731)

 モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417 
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
5.ホルンと管弦楽の為のロンド変ホ長調K371 

  ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン) 
  ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
    録音 1985年11月7〜9日

  ヴラトコヴィチの音色はまろやかで、タックウェルとブレインを足して2で割ったような感じです。この録音はアビーロード・スタジオで行われていますが、とてもよい響きのホールです。このCDを黙って聴いたら誰の演奏かわかりません。時にはブレインを思わせる音色を出していました。
 ホルン協奏曲第4番は透明感豊かな美しいホルンで朗々と歌われます。第1楽章のカデンツァは大変素晴らしいもので高音から低音まで使う長いものです。第2楽章のロマンスは大変美しい演奏、第3楽章のロンドは軽快な演奏です。なおコーダの前にカデンツァは入りません。
 ホルン協奏曲第2番はレガートのきれいな演奏です。時にはブレインのような響きが聞こえます。第2楽章はまさに天国的な美しい響きのホルンです。第3楽章のロンドは軽やかなホルンでタックウェルが演奏しているかのような響きが聞こえます。楽しいロンドです。
  ホルン協奏曲第3番は管楽器がクラリネットとファゴットになって独特の響きです。ホルンのソロは起伏に富んだ素晴らしい主題が流れます。カデンツァはこれもヴラトコヴィチの自作で流麗な演奏、ここでも広い音域の素晴らしいカデンツァが聴かれます。第2楽章のロマンスはミヒャエル・ハイドンがアレンジしたほどの名曲ですが、この美しい主題はモーツァルトの傑作のひとつかもしれません。第3楽章のアレグロはレガートの巧みなホルンが軽快に演奏します。
 ホルン協奏曲第1番はニ長調の響きがきれいです。流麗なホルンがモーツァルトの美しさを教えてくれます。第2楽章のロンドはジェスマイアーの編曲を使っています。
 ロンドK371はタックウェルの編曲を使用しています。ヴラトコヴィチの演奏は滑らかで見事なテクニックと安定した音色でよい響きです。自作のカデンツァも素晴らしい。


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