ルイ=フィリップ・マルソレ

「春の祭典」&組曲「展覧会の絵」(木管五重奏版)
CD(ATMA Classique ACD2 2687)

1.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
        (バイアリー編)
2.ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」
       (モーザー編)

  ペンタドル
  ダニエル・ブルジェ(フルート、ピッコロ、
             アルト・フルート)
  マルタン・カルペンティエ(クラリネット、
    E♭クラリネット、バス・クラリネット)
  ノルマン・フォルジェ(オーボエ、クラリネット、
     オーボエダモーレ、イングリッシュホルン)
  ルイ=フィリップ・マルソレ(ホルン、
             ワーグナー・チューバ)
  マティウ・リュシエ(ファゴット、コントラファゴット)
  録音 2012年12月

 カナダの木管五重奏団ペンタドルによる大曲のアレンジものです。
 ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」は大管弦楽作品ですが、ピアノやオルガンでも演奏されます。この木管五重奏版はマイケル・バイアリーの編曲です。楽器の持ち替えをしながら演奏する大変な演奏です。基本的にソロ楽器はそのまま使っていますのでパーカッションがない分迫力には欠けますが、5人でこれほどの演奏ができるとは驚きです。またティンパニなどの重要なフレーズはファゴットが吹いています。第1部は若干のカットがありますのでそこは聴いていると気が付きます。序奏のファゴットは流麗です。「大地の踊り」なども力演です。第2部は大幅なカットがります。序奏の前半をカットして「乙女たちの神秘的な集い」から始まります。「いけにえの賛美」と「祖先の呼び出し」はかなりのカットがありますが、自然なカットです。「祖先の儀式」から「いけにえの踊り」もソロ楽器のうまさが光ります。この演奏は「春の祭典」の素晴らしさを十分に教えてくれます。大音響で聴きたくないときにはうってつけの演奏です。
 ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」は数々の編曲があります。小編成では金管五重奏版もあります。木管五重奏版にはバッラリーニの編曲があります。ここではスイスのホルン奏者シュテファン・モーザーによる編曲を使っています。楽器の持ち替えなど演奏は困難ですが小編成でもこの「展覧会の絵」が演奏できる喜びは大きいでしょう。「小人」ではコントラファゴットの低音が響きます。「ビドロ」ではワーグナーチューバでソロを吹いています。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミーレ」ではクラリネットのチャーミングな音とホルン(ワーグナーチューバ)とコントラファゴットによる低音の対比が素晴らしいです。「リモージュの市場」は緊張感のある素晴らしい演奏です。「ババヤガ」はさすがに迫力不足ですが「キエフの大門」は良い響きです。このアルバムは楽器の響きを十分に聴かせる素晴らしい演奏と言えます。


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