松崎 裕

ベートーヴェン/六重奏曲変ホ長調Op81b
CD(自主制作 KS-1002)

1.ブリテン/ファンタジーOp2〜オーボエ、
   ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
2.ベートーヴェン/六重奏曲変ホ長調Op81b
3.フランツ・ラハナー/九重奏曲ヘ長調
4.開演を告げるアルプホルン

  古部 賢一(オーボエ)(1)
  川田 知子(ヴァイオリン)(1)
  篠崎 友美(ヴィオラ)(1)
   堀 了介(チュロ)(1&2)
  数住 岸子(ヴァイオリン)(2)
  鈴木理恵子(ヴァイオリン)(2)
  菅沼 準二(ヴィオラ)(2)
  松崎 裕(ホルン)(2)
  山本 真(ホルン)(2&3)
  佐久間由美子(フルート)(3)
  小畑 善昭(オーボエ)(3)
  磯部 周平(クラリネット)(3)
  前田 信吉(ファゴット)(3)
  加藤 知子(ヴァイオリン)(3)
  安藤 裕子(ヴィオラ)(3)
  山本 裕康(チェロ)(3)
   星 秀樹(コントラバス)(3)  
  録音2003年8月22日ライヴ(1)
     1996年8月24日ライヴ(2)
     2000年8月25日ライヴ(3)
     木曽文化公園文化ホール

 長野県木曽町で毎年開催される木曽音楽祭は2012年で38回目を迎えます。日本のトッププレーヤーが参集するこの音楽祭は室内楽の名曲、秘曲を演奏するという、演奏者も聴衆もうれしいコンサートです。伝説の名演奏もあり待望のCD化です。
 ブリテンのファンタジー(幻想曲)は1932年の作品でブリテンの初期の作品です。オーボエの美しいメロディが流れます。弦のピツィカートは後年の弦楽作品を彷彿させます。ヴィオラの響きは素晴らしく、生で聞いたら感動でしょう。
 六重奏曲変ホ長調はN響の松崎裕、山本真の両氏がホルンを吹いており、ネットで映像を見ることができましたが、CD化されてその演奏の素晴らしさがよくわかります。国内のコンサートとしても、海外の数ある録音を含めてもトップクラスの名演といって良いでしょう。ヴァイオリンの数住岸子のレガートの美しさ、ヴィオラの菅沼準二、チェロの堀了介らに支えられて朗々とホルンを吹く松崎、山本両氏のホルンは完璧で全曲にわたり、高度な音楽を作り上げています。第3楽章の勢いのある演奏はメンバー全員がのりに乗っています。弦楽の楽しそうな演奏はホルンだけが主役ではないと言っているかのようです。
 フランツ・ラハナー(1803〜1890)はシューベルトの親友だったそうで、作風もシューベルトの影響が見られます。30分を超える大曲の九重奏曲ヘ長調はシューベルトの八重奏曲にフルートとオーボエを加えて厚みを増したような作品といっては言いすぎですが、フルートとオーボエのユニゾーンを聞くとシューベルトの音楽のようにも聞こえてきます。メヌエットではクラリネットとファゴットの息のぴったり合う演奏に感動でした。ホルンは特に目立つところはありませんが和音の厚みには重要な位置をしめています。
 なお、最後に開演時に演奏されるアルプホルンによる演奏が収録されています。木曽ではアルプホルンが製作されています。良い響きの演奏です。


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