松崎 裕

モーツァルト/ホルン協奏曲第3番(2009)
CD(CAFUA CACG-0146)

協奏曲集
1.モーツァルト/ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
2.スミス/ファンタジア
3.サラサーテ/カルメン幻想曲
4.アルチュニアン/トランペット協奏曲
5.エレビー/ユーフォニアム協奏曲

 松崎 裕(ホルン)(1)
 オーティス・マーフィー(サクソフォン)(2)
 ダヴィデ・フォルミザーノ(フルート)(3)
 ポール・メルケロ(トランペット)(4)
 外囿 祥一郎(ユーフォニアム)(5)
 加養 浩幸指揮
   ヤマハ吹奏楽団
  録音 2009年8月1日ライヴ
  アクトシティ浜松 中ホール

 ヤマハ吹奏楽団創立50周年記念アルバムで、第15回浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァルのライヴ録音です。
 モーツァルトのホルン協奏曲第3番は松崎裕がソロを吹いています。吹奏楽伴奏のため第1楽章の冒頭はホルンのソロが聞き取りにくいですが主題の提示部からは素晴らしいホルンが響きます。レガートのきれいな演奏です。吹奏楽の伴奏は木管楽器の響きが強く管弦楽との違いは大きいですが、これもまた楽しいところです。カデンツァは聴きなれたものですが見事な演奏です。第2楽章のロマンスは、ホルンの美しい響きと木管の厚い響きが流れます。この演奏ならではも響きの良さがあります。第3楽章のアレグロはこの演奏の中でも聴きどころといえるものです、ヴァイオリンのパートをクラリネット合奏で演奏すると華やかで違う曲を聴いているようです。それにしても松崎のホルンは素晴らしい演奏です。
 クロード・トーマス・スミスの「ファンタジア」はマーフィーのサクソフォン・ソロで演奏されます。アルトサックスは吹奏楽の中でも目立つ楽器ですから、この吹奏楽伴奏の中でも際立て華やかに響きます。静かな部分の美しい響きも素晴らしいものです。後半の速いテンポとカデンツァのハイトーンは印象的です。
 サラサーテの「カルメン幻想曲」は原曲がヴァイオリンですが、ここではフルートのソロで演奏しています。ビゼーの歌劇「カルメン」の作品から選ばれた曲が編曲されています。フォルミザーの見事なフルート演奏が聴かれます。いわばフルート版のカルメン組曲です。ハバネラの演奏は素晴らしいです。最後のジプシーの踊りはオリジナルでもフルートですからこれは素晴らしい演奏です。
 アルチュニアンの「トランペット協奏曲」は有名な作品です。ティンパニの響きとともにトランペットのソロが歌われます。ポール・メルケロの鮮やかなトランペット演奏は迫力も感じられます。吹奏楽伴奏でもトランペットは大変良く響きます。この作品ではホルンの響きもよく聞こえます。金管も厚い響きが流れます。3つの楽章が切れ目なく演奏されます。第2楽章のミュートを使うトランペットもきれいに響きます。第3楽章の厚い響きとトランペットの華やかな演奏も見事です。
 マーティン・エレビーの「ユーフォニアム協奏曲」は名手・外囿祥一郎のユーフォニアム演奏です。4つの楽章で構成されています。第1楽章「ファンタジア」の冒頭からユーフォニアムのソロが始まります。ヤマハのユーフォニアムで大変良い響きを出しています。第2楽章「カプリッチョ」は速いテンポでこれもテクニックを要するものです。パーカッションの木琴が良く響きます。第3楽章「ラプソディ」は遅めのテンポで優雅に主題を歌います。ユーフォニアムのハイトーンがきれいに響きます。中間部も美しい響きが流れます。第4楽章「ディヴァージョーンズ」は速いテンポで細やかに歌います。演奏は難しいと思いますが、さすがに外囿の演奏は凄いです。これは素晴らしい演奏です。超絶技巧の名演です。


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