ゲルト・ザイフェルト

モーツァルト/ホルン協奏曲全集(1968)
CD(DGG PROC-2220)

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調K412&514
2.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
3.ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495

 ゲルト・ザイフェルト(ホルン)
 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1968年8月18〜22日

  このアルバムは夏のシーズン・オフにスイスのサンモリッツでカラヤンが小編成の曲を録音した中の1枚でした。ザイフェルトは入団6年目、37才のときの録音です。
 ホルン協奏曲第1番はザイフェルトのホルンが実にきれいなレガートでモーツァルトを演奏しています。そのうまさは低音から高音まで安定した音色で何の苦も無く吹いているかのようです。カラヤンの指揮は勢いがあります。第2楽章のロンドもオーケストラはやや速めのテンポで勢いのある演奏です。ホルンは滑らかな演奏になっています。きれいな演奏です。
 ホルン協奏曲第2番はレガートのきれいなホルンが流れます。ザイフェルトの滑らかなホルンは素晴らしいです。展開部のきれいなホルンもまた素晴らしいです。オーケストラもよい響きです。再現部も見事な演奏です。第2楽章はレガートの大変きれいな響きでホルンが歌います。弦楽もきれいです。第3楽章のロンドはホルンがレガートで滑らかに演奏しています。オーケストラは力が入っています。コーダ前のテンポが落ちるところはきれいな演奏です。これは見事な演奏です。
 ホルン協奏曲第3番は冒頭でホルンが吹くはずの「ドー・ソー・ド」が入りません。またそのあとに吹くはずの「ソソソ ソソミド、ソ、ソ」まで吹いていないことには驚きました。ソロに入るとレガートと巧みなタンギングで朗々と吹いています。カラヤンの引き出す弦楽の響きも絶品ですからオーケストラの部分のきれいなことはいうまでもありません。展開部から再現部も素晴らしい演奏です。カデンツァは同じベルリン・フィルのマンフレート・クリエールの作で大変長いものですが見事な演奏です。第2楽章:ロマンツェのゆったりとした演奏は素晴らしいです。ここはカラヤンの腕の見せどころでしょう。ホルンと弦楽の美しさはさすがです。第3楽章のアレグロは快適なテンポ、勢いのある演奏はオーケストラもホルンも素晴らしいです。ザイフェルトのホルンは素晴らしい演奏です。
 ホルン協奏曲第4番の序奏はカラヤンが伴奏にも力をいかに入れたかがわかります。ソロは引き立てて、ソロのないところはオーケストラを力強く演奏する当たり前のこともカラヤンにかかると違うものです。ホルンの主題はここも素晴らしい演奏です。ザイフェルトのホルンは滑らかです。カデンツァはクリエールの作でこちらも長いもので、見事な演奏です。第2楽章のロマンツェは優しい響きのホルンが歌います。オーケストラもよい響きです。第3楽章のロンドは軽快なホルン、勢いのあるオーケストラがさわやかです。ザイフェルトのホルンが乗りに乗ったモーツァルトです。コーダ前にカデンツァは入りませんが、カラヤンとザイフェルトのモーツァルトもまた良い演奏です。
(2019年発売のSACDユニバーサル盤)


トップへ
戻る
前へ