アプ・コスター

シュペルガー/カッサシオン第3番(1985)
CD(Christophorus CHE 0126-2) 

コントラバスのための室内楽作品集
1.ホフマイスター/四重奏曲第2番
2.フィンダイセン/ロマンティック組曲Op10
3.シュペルガー/カッサシオン第3番
4.ボッテシーニ/アリア「Tutto il mondo serra」
5.ベートーヴェン/二重奏曲
6,ロンベルク/三重奏曲
7.ロッシーニ/二重奏曲
8.M.ハイドン/ディヴェルティメント変ホ長調
9.シュペルガー/ソナタ ニ長調

ゲルハルト・ツヴィツア(コントラバス)(1〜4&6〜9)
 フランソワーズ・ポレ(ソプラノ)(4)
 ウィンフリート・ラスマン(ヴァイオリン)(1)
 アブ・コスター(ホルン)(3)
 フカイ・ヒロフミ(ヴィオラ)(1、3、5、6、8&9)
 ユーリ・セイラー(チェロ)(1)
 クラウス・ストッペル(チェロ)(5〜8)
 セリーヌ・ドゥティリィ(ピアノ)(4)
 録音 1985年6月(1〜4)
     1970年6月(5〜7)
     1979年7月(8&9)

 コントラバスを中心とした珍しい室内楽作品集です。ゲルハルト・ツヴィツアはハンブルク・フィルハーモニーのコントラバス奏者です。
 ホフマイスターの四重奏曲第2番は、コントラバス、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロの四重奏です。ソロ楽器がコントラバスです。第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「ロンド」になります。第1楽章は冒頭からコントラバスの主題が歌われます。これほどコントラバスの主役の作品は初めて聴きました。ヴァイオリン、ヴィオラとチェロの伴奏によるコントラバスの協奏曲のようです。第2楽章のメヌエットはきれいな演奏です。コントラバスが楽しそうに歌います。第3楽章のアンダンテはコントラバスのソロに始まります。楽しそうな四重奏です。第4楽章のロンドはきれいな四重奏です。コントラバスのソロソロも楽しそうです。素晴らしい演奏です。
 フィンダイセンのロマンティック組曲はコントラバスとヴァイオリンの二重奏です。4つの曲が歌われます。第2曲はヴァイオリンとコントラバスが同じフレーズを歌うところもあってきれいなデュオです。第3曲はゆったりと始まります。ヴァイオリンとチェロが歌うような美しい響きです。第4曲は快活なテンポで良い響きです。ここではコントラバスのピツィカートがあります。ヴァイオリンのソロがきれいです。素晴らしい演奏です。

 シュペルガーのカッサシオン第3番はホルン、ヴィオラとコントラバスのための作品です。第1楽章「モデラート」、第2楽章「アンダンテ・ポコ・アダージョ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「アンダンテ・コン・ヴァリアツィオーニ、アレグロ」になります。第1楽章からアプ・コスターのきれいなフレンチホルンが聴かれます。それでもこの作品ではコントラバスのソロが随所に聴かれます。中低音楽器だけの演奏ですが、ヴィオラもコントラバスも高音を出しますので聴きどころは多いです。後半にホルンの素晴らしいソロがあります。第2楽章はホルンのハイトーンがきれいです。そしてヴィオラとコントラバスが力強く響きます。独特のアンサンブルです。これもまた面白い響きです。3つの楽器が主役です。第3楽章のメヌエットはホルンとヴィオラが歌い始めます。そしてコントラバスが元気よく入ってきます。これもまたきれいな演奏です。第4楽章はホルンに始まって、やがてヴィオラとコントラバスが快活に歌い始めます。3つの楽器が主役のこのカッサシオンは何度も聴いてみたくなります。名演です。

 ボッテシーニのアリア「Tutto il mondo serra」はコントラバス奏者でもあったボッテジーニが書いたアリアでコントラバスのオブリガード付のピアノ伴奏による作品です。きれいなソプラノ歌唱と同時に重厚なコントラバスの響きも聴きものです。
 ベートーヴェンの二重奏曲はヴィオラとチェロの二重奏です。コントラバスは入りません。音域の近い弦楽器同志の華麗な響きが聴きものです。見事な演奏です。速いテンポで小刻みの多いフレーズが素晴らしい演奏です。
 ロンベルクの三重奏曲はチェロとヴィオラとコントラバスの三重奏です。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド アレグレット」になります。第1楽章から中低音楽器の穏やかな響きに包まれます。チェロとコントラバスの重低音がよく響きます。第2楽章はヴィオラとチェロの響きが同じように聞こえて大変きれいな演奏です。第3楽章はロンドで軽やかな演奏です。楽しそうです。
 ロッシーニの二重奏曲はチェロとコントラバスの二重奏です。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・モルト」、第3楽章「アレグロ」になります。第1楽章の力強い演奏、第2楽章はチェロの良い響きとコントラバスのピツィカートが聴きものです。第3楽章も力強い演奏です。見事な演奏です。
 ミヒャエル・ハイドンのディヴェルティメント変ホ長調はヴィオラとチェロとコントラバスの三重奏です。第1楽章「アダージョ・コン・ヴァリアツィオーニ」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「プレスト」になります。第1楽章はヴィオラの華麗な響きが素晴らしい演奏です。ヴァリエーションのようです。やがてチェロの変奏が華やかに響きます。第2楽章のメヌエットはヴィオラとチェロが楽しそうに歌います。コントラバスは重厚な響きです。第3楽章のプレストはコントラバスの重厚な響きに乗って、ヴィオラとチェロがきれいに演奏します。素晴らしい演奏です。
 シュペルガーのソナタ ニ長調はヴィオラとコントラバスの二重奏です。3つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「ロマンツェ」、第3楽章「フィナーレ」になります。第1楽章はコントラバスが高い音を出して、ヴィオラと良い響きを出しています。しかもコントラバスは響きが良いために目立ちます。やがてヴィオラのソロがきれいに響きます。そしてコントラバスも歌います。第2楽章のロマンツェはコントラバスの重厚な響きに乗ってヴィオラがきれいに歌います。やがてきれいな和音が響きます。第3楽章のフィナーレは力強い演奏に始まります。ヴィオラとコントラバスだけでこのように華麗な響きが聴けるとうれしいものです。見事な演奏です。


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