ハワード・ウォール

女性作曲家たちによる音楽作品集(2017〜20)
CD(Affetto AF2004)

女性作曲家たちによる音楽作品集
1.ウォーレン/「5枚のはがき」から第3番
          〜ヴァイオリンとホルン
2.バスラー/アパラチア〜独奏ホルンのための
3.エレナ・フィルソヴァ/メモリアOp162
        〜独奏ヴァイオリンのための
4.レベッカ・クラーク/グロテスク
          〜ヴァイオリンとホルン
5.エリカ・ラウム/聖アウグスティヌスの告白
          〜無伴奏ホルンのための音詩
6.フランシーヌ・トレスター/バイクシェヴス・パイン
          〜独奏ヴァイオリンのための
7.エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲール/
  ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調からプレスト
           〜ヴァイオリンとホルン
8.ドロレス・ホワイト/「ブルースの対話」第3番
          〜独奏ヴァイオリンのための
9.ローラ・カミンスキー/ブラスト
             〜独奏ホルンのための
10.レベッカ・クラーク/子守歌
            〜ヴァイオリンとホルン
11.ワン・ジー/ゴールデン・スネーク・ダンス
           〜独奏ヴァイオリンのための
12.アリス・ゴメス/ラ・カラベラ
            〜独奏ホルンのための
13.フランシーヌ・トレスター/プロホドナ
               〜ヴァイオリンとホルン
14.エルミラ・ダルヴァロワ/私の熱い涙〜
           独奏ヴァイオリンのための
15.エリザベス・ラウム/イディオム
           〜独奏ホルンのための
16.北村ゆい/小鳥とサンザシの樹
           〜ヴァイオリンとホルン

 エルミラ・ダルヴァロワ(ヴァイオリン)
     (1、3、4、6〜8、10、11、13、14&16)
 ハワード・ウォール(ホルン)
  (1、2、4、5、7、9、10、12、13、15&16)
 録音 2017〜2020年

 アメリカのホルン奏者ハワード・ウォールとヴァイオリンのエルミラ・ダルヴァロワが選んだ世界の女性作曲家たちの作品です。編曲もあります。14の作品が世界初録音になります。
  エロリン・ウォーレンの「5枚のはがき」から第3番はヴァイオリンとヴィオラのための作品からの編曲です。ホルンがヴィオラのパートだけを演奏しているとは思えないですが、オブリガードのように低音をうまく使いながらヴァイオリンを引き立てています。
 リディア・ローリー・バスラーの「アパラチア」は独奏ホルンのための作品です。世界初録音になります。アメリカのアパラチア山脈の雄大な風景を表現したように朗々とホルンを演奏しています。
 エレナ・フィルソヴァの「メモリアOp162」は独奏ヴァイオリンのための作品。世界初録音になります。ダルヴァロワのヴァイオリンが静かに始まります。やがて強烈な響きとなって、ピツィカートを弾くと、穏やかに美しいメロディを歌います。
 レベッカ・クラークの「グロテスク」はヴァイオリンとチェロのための小品ですが、これをダルヴァロワとハワード・ウォールがヴァイオリンとホルンのために編曲しました。やや強烈なイメージの主題を演奏しています。ヴァイオリンを支えるホルンがまた良い響きです。時にはユニゾーンになるときもあります。良いアンサンブルになっています。
 エリカ・ラウムはエリザベス・ラウムの娘さんです。「聖アウグスティヌスの告白」は無伴奏ホルンのための音詩(トーン・ポエム)になっています。語りかけるように告白する、そんなアウグスティヌスの気持ちを表現するようにホルンが縦横に演奏しています。これは素晴らしい作品です。
  フランシーヌ・トレスターの「バイクシェヴス・パイン」はブルガリア名物の松を題材にしたものです。独奏ヴァイオリンのための作品です。演奏の前に詩の朗読があります。巨大な松を描いた作品はヴァイオリンの多彩なテクニックを使いながら見事な作品にしています。ダルヴァロワの演奏も素晴らしいものです。
 エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲールの「ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調からプレスト」をヴァイオリンとホルンのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲しました。冒頭からヴァイオリンとホルンの見事なデュオが聴かれます。低音を豊かに響かせるホルンは素晴らしいものです。ダルヴァロワのヴァイオリンもまた素晴らしい演奏です。
 ドロレス・ホワイトの「ブルースの対話」第3番は独奏ヴァイオリンのための作品です。短い小品ですがヴァイオリンの多彩な表現力を使いながら演奏しています。
 ローラ・カミンスキーの「ブラスト」は独奏ホルンのための作品です。世界初録音になります。この作品はホルンが力強く縦横に演奏しています。後半には細やかなフレーズも現れます。
 レベッカ・クラークの「子守歌」はヴァイオリンとチェロのための小品ですが、これをダルヴァロワとハワード・ウォールがヴァイオリンとホルンのために編曲しました。大変穏やかに始まって、ヴァイオリンとホルンが優しく歌う子守歌です。大変美しい作品です。演奏も素晴らしいです。
  ワン・ジーは上海出身のアメリカの作曲家です。「ゴールデン・スネーク・ダンス」は独奏ヴァイオリンのための作品です。中国の踊り(金蛇狂舞)を表現したものと思われますが、穏やかなテンポの作品です。大きな作品です。中国風のフレーズも聞かれます。
 アリス・ゴメスの「ラ・カラベラ」は独奏ホルンのための作品です。これが世界初録音です。ホルンが縦横に華やかな演奏をしています。狩りのホルンのように動きのある素晴らしい作品です。
 フランシーヌ・トレスターの「プロホドナ」はヴァイオリンとホルンのために書かれました。演奏の前に詩の朗読があります。ヴァイオリンとホルンが絡み合いながら歌います。2つの楽器が対話しているかのようです。よくできています。演奏も素晴らしいです。
 エルミラ・ダルヴァロワの「私の熱い涙」は独奏ヴァイオリンのための作品。ダルヴァロワの自作自演になります。これが世界初録音です。あらゆる思いをこめて演奏していると思われます。ヴァイオリニストだからこそ出来そうな作品です。長大なカデンツァのようにも聞こえます。素晴らしい演奏です。
 エリザベス・ラウムの「イディオム」は独奏ホルンのための作品です。世界初録音になります。イディオムとは熟語とか慣用句の意味があります。この作品は語りかけるような主題が演奏されています。まさに説得力があるような主題が演奏されています。中間部にはハイトーンも聴かれます。後半には主題の再現があって雄大さも感じられます。
 北村ゆいの「小鳥とサンザシの樹」はヴァイオリンとホルンのための作品です。ダルヴァロワとハワード・ウォールに献呈されています。これが世界初録音になります。森の風景を感じさせる作品です。ヴァイオリンは小鳥がさえずるように演奏しています。ホルンが樹木の大きさを表しているようです。美しい小品です。
 大変素晴らしいアルバムです。


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