ハワード・ウォール

アストル・ピアソラ/リベルタンゴ、他(2019〜20)
CD(AFFETTO AF2003)2枚組

アストル・ピアソラ/タンゴの天才
CD1
1.インヴィエルノ・ポルテニョ(ヴァイオリン、ホルン
         ピアノ)(ダルヴァロワ&ウォール編)
2.ミケランジェロ '70 (ヴァイオリンとピアノ)
             (ブルネッティ編)
3.カフェ1930(ヴァイオリンとホルン)
    (ダルヴァロワ&ハワード・ウォール編)
4.フガータ(ヴァイオリンとピアノ:ダルヴァロワ編)
5.ミロンガ・デル・アンヘル (ヴァイオリン、ホルン
          ピアノ)(ハワード・ウォール編)
6.ヴァルダリート (ヴァイオリンとピアノ)
         (ダルヴァロワ&ウィーバー編)
7.アヴェ・マリア (タンティ・アンニ・プリマ)
     (ホルンとピアノ)(ハワード・ウォール編)
8.イントロダクション・アル・アンヘル
      (ヴァイオリンとピアノ)(ウィーバー編)
9.ブエノスアイレスの春(ヴァイオリン、ホルンと
       ピアノ)(ダルヴァロワ&ウォール編)
CD2
10.ブエノスアイレスの秋(ヴァイオリン、ホルンと
       ピアノ)(ダルヴァロワ&ウォール編)
11.エスクアロ (ヴァイオリンとピアノ:ブルネッティ編)
12.ソレダッド(ヴァイオリン、ホルンとピアノ)
        (ダルヴァロワ&ウォール編)
13.リベルタンゴ (ヴァイオリンとホルン)
          (ダルヴァロワ&ウォール編)
14.レズレッシオン・デル・アンヘル(ヴァイオリンと
                ピアノ)(ブルネッティ編)
15.オブリヴィオン(忘却) ( ヴァイオリン、ホルンと
           ピアノ)(ハワード・ウォール編)
16.アディオス・ノニノ (ヴァイオリンとピアノ)
          (ダルヴァロワ&ウィーバー編)
17.ル・グラン・タンゴ(ヴァイオリン、ホルン、ピアノ)
          (ダルヴァロワ&ウォール編)

 エルミラ・ダルヴァロワ(ヴァイオリン)
            (1〜6、8〜17)
 ハワード・ウォール(ホルン)
     (1、3、5、7、9、10、12、13、15&17)
 トーマス・ウィーバー(ピアノ)
      (1、2、4〜12、14〜17)
 録音 2019〜2020年

 タンゴの天才、アストル・ピアソラの作品(ほとんどがバンドネオンが入る五重奏)をヴァイオリン、ホルン、ピアノのために編曲した作品集です。編曲作品としては世界初録音が14作品あります。
 「インヴィエルノ・ポルテニョ」はエスタシオネス・ポルテニャス第2曲です。これをヴァイオリン、ホルンとピアノに編曲しています。ピアノの華麗な響き、ヴァイオリンの良い響きがあって、中間部にはホルンのソロが入ります。何とも言えない美しさです。後半は軽快なタンゴで、良いアレンジと演奏です。
 「ミケランジェロ '70」は(ヴァイオリンとピアノのために編曲されたものです。ヴァイオリンの典型的なアルゼンチンタンゴといってもよいでしょう。素晴らしい演奏です。これぞアルゼンチンタンゴです。
 「カフェ1930」は「タンゴの歴史」の第2曲、ヴァイオリンとホルンのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲しました。ヴァイオリンが歌い、ホルンが支えるような編曲になっています。そのホルンも美しい響きを出しています。
 「フガータ」はシルフォ・イ・オンディナ第2曲、ヴァイオリンとピアノのためにダルヴァロワが編曲しています。大変美しい作品で、最初からヴァイオリンの作品として作られたかのように見事な演奏です。
 「ミロンガ・デル・アンヘル」は「タンゴ・デル・アンヘル」の第2曲、ヴァイオリン、ホルン、ピアノのために編曲しています。穏やかに始まり、ヴァイオリンの良い響きがあって、やがてホルンが哀愁的な主題を穏やかに歌います。後半にもホルンの主題が入ります。穏やかで美しい作品です。
 「ヴァルダリート」はヴァイオリニストのエルヴィノ・ヴァルダロに献呈した作品をヴァイオリンとピアノのために編曲したものです。大変美しい作品です。ダルヴァロワのヴァイオリンが素晴らしい演奏です。
 「アヴェ・マリア」 (タンティ・アンニ・プリマ)はオーボエとピアノのための作品を、ホルンとピアノのためにハワード・ウォールが編曲したものです。最初の曲名が「タンティ・アンニ・プリマ」でしたが、その後「アヴェ・マリア」に変えています。ハワード・ウォールのホルンが穏やかに歌いだします。アダージョのようなゆったりとした音楽です。ホルンの良い響きが聴かれます。このアルバムでは唯一のホルンとピアノによる演奏です。
 「イントロダクション・アル・アンヘル」は「エル・タンゴ・デル・アンヘル」の第1曲をヴァイオリンとピアノのために編曲したものです。序奏の部分は穏やかに、後半は華麗な演奏になります。ヴァイオリンの輝かしい演奏が素晴らしいです。
 「ブエノスアイレスの春(プリマヴェーラ・ポルテーニャ)」は「ブエノスアイレスの四季」の第4曲をヴァイオリン、ホルンとピアノのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲したものです。この作品は華麗なタンゴのようです。ヴァイオリンの華麗な響きが印象的です。ピアノとヴァイオリンが圧倒的な演奏です。中間部には穏やかにホルンの主題が流れます。ブエノスアイレスの春はどのような風景でしょう。後半はテンポアップしてにぎやかになります。
 「ブエノスアイレスの秋(オトーニョ・ポルテニョ)」は「ブエノスアイレスの四季」の第2曲をヴァイオリン、ホルンとピアノのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲したものです。この作品は少しにぎやかに始まります。そしてやや穏やかな部分になるとホルンの美しい調べが流れます。後半はまたホルンとヴァイオリンが美しい響きを出しています。
 「エスクアロ(鮫)」はフィッシング(釣り)を描いたタンゴです。ヴァイオリンとピアノのためにブルネッティが編曲しています。これは華麗なタンゴです。ヴァイオリンとピアノが力強く、そして華麗な響きでフィッシングを思わせる演奏をしています。
 「ソレダッド」は「シルフォ・イ・オンディナ」組曲の第3曲を、ヴァイオリン、ホルンとピアノのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲したものです。まずホルンがのどかな雰囲気の主題を歌い、ヴァイオリンがその上に奏でます。前半は穏やかに、後半は盛り上がりを見せていますが、テンポは変わらず良い響きです。
 「リベルタンゴ」はピアソラの代表的な作品です。これをヴァイオリンとホルンのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲したものです。ホルンは低音で伴奏にまわり、ヴァイオリンが主題を歌います。途中からホルンが主題を歌います。後半ではまたヴァイオリンが主題を歌います。この素晴らしい編曲と演奏は見事なものです。
 「レズレッシオン・デル・アンヘル(天使の復活)」は「セリエ・デル・アンヘル(天使の組曲)」の第4曲をヴァイオリンとピアノのためにブルネッティが編曲しています。この作品はやや穏やかにヴァイオリンが主題を歌います。ピアノは途中から華麗な響きを出しています。そこにヴァイオリンが高音域を使いながら華麗な響きを出しています。まさに元気に復活です。
 「オブリヴィオン(忘却)」は映画「エンリコ四世」の挿入曲です。これをヴァイオリン、ホルン、ピアノのためにハワード・ウォールが編曲したものです。穏やかなピアノに始まり、ホルンが朗々と歌います。そこにヴァイオリンが応えるように付いてきます。そして力強くヴァイオリンとホルンが主題を歌います。映画で盛り上がりそうです。美しい作品です。
 「アディオス・ノニーノ」 はピアソラ初期の作品。これをヴァイオリンとピアノのためにダルヴァロワとウィーバーが編曲しています。穏やかなピアノに始まり、やがて盛り上がると長い序奏のあとにヴァイオリンが入ります。別れの歌だけに哀愁的なメロディが続きます。後半は元気をつけるようにテンポアップして華麗に演奏しています。
 「ル・グラン・タンゴ」はチェロとピアノのための作品。これをヴァイオリン、ホルン、ピアノのためにダルヴァロワとハワード・ウォールが編曲したものです。この作品は冒頭からにぎやかにタンゴが始まります。ヴァイオリン、ホルン、ピアノが協調してタンゴを奏でます。チェロの作品だけにホルンは重要な音域を歌います。12分の大きな作品ですから、ホルンの出番は多いです。ヴァイオリンと絡み合いながら楽しそうに演奏しています。ヴァイオリンとホルンのユニゾーンもあります。後半は速いテンポで華やかなタンゴになります。これは良いアルバムです。


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