アンネケ・スコット

ベートーヴェン/交響曲第7番/エグモントの音楽(2019)
CD(resonus RES10270)

ベートーヴェン/編曲作品集
1.「エグモント」序曲Op84(シュタルケ編)
2.劇音楽「エグモント」Op84より(パーシヴァル編)
  1)リート「太鼓が鳴る」(クレールヒェンの歌)
  2)間奏曲 第3番
  3)クレールヒェンの死
  4)エグモントの夢 - 勝利の交響曲
3.ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 Op13「悲愴」
4.交響曲第7番イ長調Op92

 ボックスウッド&ブラス
  レイチェル・チャプリン(オーボエ)
  ニコラ・バルバリ(オーボエ)
  エミリー・ウォージントン(クラリネット)
  フィオナ・ミッチェル(クラリネット)
  ロバート・パーシヴァル(ファゴット)
  功刀貴子(ファゴット) 
  アンネケ・スコット(ナチュラルホルン)
  ケイト・ゴールドスミス(ナチュラルホルン)
  ジャクリーヌ・ドッサー(コントラバス)
  録音 2019年2月3〜5日

 ピリオド楽器によるイギリスのアンサンブル「ボックスウッド&ブラス」によるベートーヴェンのハルモニームジークです。
 「エグモント」序曲はフリードリヒ・シュタルケの編曲によります。管楽八重奏とコントラバスによる演奏は重みがあります。管楽器のソロはそのままですが、弦楽のパートはホルンや木管による演奏になりますので、面白い響きです。なお、この編曲では本来序曲の最後に演奏される「勝利の交響曲」の部分がカットされています。その部分はこのあとに演奏されます。
 劇音楽「エグモント」から4曲がパーシヴァルの編曲で演奏されます。第1曲はリート「太鼓が鳴る」でクレールヒェンの歌です。第2曲は間奏曲第3番です。木管の響きが大変きれいです。第3曲の「クレールヒェンの死」はオーボエの哀愁的な響きがきれいです。そして第4曲はエグモントの夢と「勝利の交響曲」です。夢を聴いた後に勝利の交響曲が演奏されます。素晴らしい「エグモントの音楽」です。
 ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」は編曲者不詳ですが、1810年に演奏されています。このピアノ・ソナタを管楽八重奏とコントラバスで聴けるとは驚きです。ピアノ作品がこの編曲で演奏されても違和感のないベートーヴェンの作品として楽しむことができます。第2楽章のアダージョ・カンタービレは大変美しい演奏です。ここはピアノよりも感動的です。ナチュラルホルンの響きがきれいです。第3楽章のロンドは木管の響きの良さとホルンの厚い響きが素晴らしいです。何度も聴きたくなる演奏です。
 交響曲第7番は原曲がイ長調という華やか響きの作品ですが、管楽アンサンブルの編曲は1音低いト長調になっています。そのため聞きなれた耳には少し違和感を感じます。第2楽章と第4楽章も1音低くなっているのですが、第3楽章だけは原曲のヘ長調のままになっています。さて第1楽章ですが優しい響きとなっているのはフルートが入っていないためです。提示部の主題は原曲ではフルート・ソロですがここはオーボエで演奏しています。全合奏のホルンは良い響きです。提示部のリピートがあります。展開部になると弦楽パートを各楽器が受け持ちますので大変忙しくなります。クラリネットとファゴットが大忙しです。さすがに素晴らしい演奏になっていますが原曲を何度も演奏しているでしょうから逆に苦労されたことと思います。コーダはファゴットがベースに重ねてフレーズを吹いています。第2楽章はト短調になっています。ここは原曲は弦楽の聴きどころですが、クラリネットとファゴットが大変良い響きで歌っています。オーボエとホルンが加わるとこの楽章の素晴らしさが伝わってきます。この編成で聴くとこの楽章もいいものです。第3楽章は原曲と同じヘ長調ですから管楽器が大変よく響きますし、聞きなれた響きにほっとします。これは素晴らしい響きです。弦楽なしでも十分いけると思いました。トリオのクラリネットとホルンが大変きれいです。後半カットがあります。第4楽章はト長調で管楽器の超絶技巧の連続になります。クラリネットとオーボエはヴァイオリンのパートの掛け合いになります。ホルンの二重奏は素晴らしい響きです。かなりの短縮ですがこの楽章の素晴らしさはよくわかります。素晴らしいアンサンブルです。


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