フィリップ・マイヤーズ

ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調
CD(Urlicht AudioVisual  UAV-5994)

1.ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調Op40
2.マイエルヴァイオリン・ソナタ ロ短調
3.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第3番
                   ニ短調Op108

  エルミラ・ダルヴァロヴァ(ヴァイオリン)(1〜3)
  フィリップ・マイヤーズ(ホルン)(1)
  ブライアン・ワゴーン(ピアノ)(1〜32)
    録音 2013年1月6&7日

 フィリップ・マイヤーズ待望のブラームスです。巨漢のマイヤースが繊細な演奏をする素晴らしい録音です。1949年生まれのマイヤーズがブラームスを録音するのは遅いような気がしますが、ずっと温めておいたことがかえって良かったのかもしれません。第1楽章の冒頭からあまりにもきれいなホルンで感動します。時には軽いビヴラートをかけてホルンを響かせる技をみせています。ダルヴァロヴァのヴァイオリンとワゴーンのピアノとの相性もよく調和のとれた演奏になりました。第2楽章スケルツォは力の入った演奏でここではホルンが強く出たり押さえのきいた演奏になったりです。マイヤーズのホルンはまろやかで実に良い音色です。
 第3楽章のアダージョはマイヤーズの繊細なホルンが最もきれいに響いています。ピアノの響きと共に一瞬他の曲を聴いているかのような錯覚に陥るほどの名演です。フィナーレは活気のある演奏でヴァイオリンとホルン、ピアノが厚みのある響きを聞かせてくれます。ホルンの力強い響きとピアノのきらめきが素晴らしい。最近にない感動的なブラームスです。これぞロマン派の音楽でしょう。
 アマンダ・マイエル(1853〜1894)はスウェーデンの女流ヴァイオリニストでライプツィヒで学んだことでブラームスとも親交がありました。ヴァイオリン・ソナタ ロ短調は21歳のときに作曲されています。3つの楽章からなりロマンティックな作品です。録音は少ないと思われます。
 ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番はアマンダ・マイエルが最初に試奏してブラームスに助言したといういわくつきの作品です。そういう因縁を感じると聞こえてくるソナタの演奏にも味わい深いものがあります。ニ短調という調性は哀愁的でもありヴァイオリンの響きにもまた啜り泣きを感じさせるものがあります。ダルヴァロヴァのヴァイオリンも女性ならではの感性で表現力豊かに演奏しており素晴らしいの一言です。


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