日橋 辰朗

アルファ/ホルン・オリジナル作品集
CD(MEISTER MUSIC MM−2160)

ホルン・オリジナル作品集
1.F・シュトラウス/主題と変奏Op13
2.ライネッケ/ノットゥルノOp112
3.ニールセン/カント・セリオーソ
4.デュファイエ/ホルンとピアノのための「アルファ」
5.バルボトゥ/独奏ホルンの為の5つの詩的な小品
6.キルヒナー/3つの詩曲

  日橋 辰朗(ホルン) 
  室伏 琴音(ピアノ) 
  録音 2013年5月22&23日
     横須賀ベイサイド・ポケット

 日橋 辰朗(にっぱしたつお)は東京都出身。東京音大卒で後藤照久、井出詩朗、水野信行各氏に師事。2011年の日本音楽コンクール、ホルン部門で優勝しています。日橋のホルンは安定したテクニックで完璧にプログラムを演奏しています。
  F・シュトラウスの「主題と変奏」は「夜想曲」と共に人気の作品ですが、日橋は夜想曲のように穏やかに主題を吹いています。ヴァリエーションはピアノに乗って滑らかに吹き始め、動きの激しい部分でもきれいな音色で演奏していて好感がもてます。
  ライネッケの「ノットゥルノ」も愛らしい作品で度々演奏されますが、この演奏もロマンティックでホルンの美音が響きます。レガート、スラーは巧みです。
  ニールセンの「カント・セリオーソ」はよく知られる小品です。穏やかな部分が多いですが盛り上がりの部分でのタンギングが素晴らしい。
  ドゥファイエの「ホルンとピアノのためのアルファ」は1973年のパリ音楽院卒業試験課題曲です。テンポの遅い部分とカデンツァ、そしてテンポの速い部分と続きますが、スラーが難しそうです。その難曲をすらすら吹いてしまうのは見事です。カデンツァの演奏も凄いとしかいいようがありません。
  バルボトゥの「独奏ホルンのための5つの詩的な小品」は2011年の日本音楽コンクールの2次予選の課題曲のひとつでしたが、この日橋の演奏はバボラークを思わせるような素晴らしい技巧による演奏です。ホルンの音色がきれいで水野信行のように深みのある響きが素晴らしい。
  キルヒナーの「3つの詩曲」はノイネッカーのために書かれた難曲です。第1曲「嘆き」は1986年に作曲され「オルフェオの嘆き」として出版されていますが、ピアノをハープのように指で弾くなどCDよりも生で演奏を見たい作品です。第2曲「ダンス」は1987年の作でピアノとホルンの掛け合いが絶妙です。ノイネッカーの演奏よりもピアノとホルンの融合が面白いといえます。速いテンポで演奏されます。第3曲「葬送のゴンドラ」は第1曲のように遅いテンポで雰囲気のある作品です。ここでは室伏のピアノにも注目で絶妙なクレッシェンド、きらめきなど素晴らしく、ホルンともども絶賛したい演奏です。


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