ジョン・ストバート

ホルンとヴァイオリンのための愛の二重奏曲集
CD(Zuk Records 328)

ホルンとヴァイオリンのための愛の二重奏曲集
1.ハステルマン/ヴァイオリンとホルンのためのデュオ
2.ロンパート/クリスタル(2002)
3.カールソン/ヴァイオリンとホルンのための5つの歌と舞曲
4.ビュージング/アーレッキンとコロンビナ(2002)
5.ストバート/エリジのために(2002)

  ジョン・ストバート(ホルン)
        (アレキサンダー103)
  エリーザベト・クラウス(ヴァイオリン)
    録音 2004年 

  このアルバムは大変珍しいホルンとヴァイオリンのための作品集です。いずれも21世紀の作品で2001年から2002年に作曲されています。
 ハステルマンのヴァイオリンとホルンのためのデュオ(2001)はホルンの美しい響きとヴァイオリンの切ない響きが織りなす愛の二重奏ともいえる作品です。3つの楽章から構成され、第1楽章:アンダンテはロマン派作品のようにきれいなメロディが流れます。短い第2楽章間奏曲(パストラール)は哀愁的です。第3楽章:シュネールは踊るようなメロディが楽しいです。全曲5分足らずの小品です。
  ロンパートの「クリスタル」は2002年の作。クリスタルの輝きをヴァイオリンの高音域で表現しているようです。またホルンのゲシュトップ効果はヴァイオリンのポルタメントと同じようです。大変ユニークな作品でヴァイオリンとの相性の良さには驚きます。ホルンのフラッタータンギングとヴァイオリンの刻みは面白いです。
  カールソンの「ヴァイオリンとホルンのための5つの歌と舞曲」は5つの歌になっていますが、第3曲が「愛の二重奏(アダージョ・カンタービレ)」になっています。第1曲「ヴォカリーズ」も素晴らしい響きが聞かれます。ここでもハンドストップの効果が聞きものです。
  ビュージングの「アーレッキンとコロンビナ」は当初ヴァイオリンとトロンボーンのために書くつもりだったようです。途中でホルンにしたそうで初演はヴァイオリンとホルンでした。6曲の小品による組曲です。第2曲「アレッキーノ変奏曲」はトロンボーンが吹いているかのようなフレーズがあります。第3曲「カンツォネッタ」はほとんどヴァイオリン・ソロで左手ピチカートと右手ボウイングの高度テクニックのよる演奏が素晴らしい。第4曲「コロンビナ変奏曲」はまた賑やかな作品でホルンとヴァイオリンの強奏に圧倒されます。第5曲ではホルンとヴァイオリンの表現力を追求したような面白い小品です。
  最後のストバートの作品「エリジのために(For Elisi)」は文字通りホルンのストバートがヴァイオリンのエリーザベト・クラウスのために書いた作品です。もちろんホルンとヴァイオリンのための作品です。2つの小品で構成されています。第2曲で披露されるあらゆる技法は聞きもので、デュオだからこそ合わせられる絶妙さがあります。


トップへ
戻る
前へ