リチャード・ワトキンス

ブリテン/テノール、ホルンと弦楽のためのセレナードOp31
CD(LINN CKD478)

ブリテン/作品集
1.若きアポロOp16
2.ラクリメ〜ダウランドの歌曲の投影Op48a
3.前奏曲とフーガOp29
4.テノール、ホルンと弦楽のためのセレナードOp3

  ロレンツォ・スーレ(ピアノ)(1)
  マテ・スーチュ(ヴィオラ)(2)
  アラン・クレイトン(テノール)(4)
  リチャード・ワトキンス(ホルン)(4)
  マルクス・ダウナート指揮
  オールドバラ・ストリングス
  録音 2012年10月20〜22日(2〜3)
      2013年11月24&25日(4)
      2015年年4月4日(1)

 オールドバラといえばブリテンが主催した音楽祭が開かれた街でした。弦楽作品も名作も多いブリテンの作品です。
 「若きアポロ」はピアノ、弦楽四重奏と弦楽のための作品です。1939年に書かれています。ピアノが上昇する音階を奏でるのが印象的です。勢いがあります。
 「ラクリメ〜ダウランドの歌曲の投影」はヴィオラとピアノのための作品で、ブリテンは晩年にピアノパートを弦楽にアレンジしていました。ここでは弦楽伴奏による演奏になっています。ピツィカートが印象的です。
 「前奏曲とフーガ」は弦楽のための作品で1943年に書かれています。イギリスの弦楽作品は傑作が多く、この作品も素晴らしい曲です。
  「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」は1943年の作品。ブリテンの友人ピーター・ピアーズとホルンの名手でニス・ブレインのために書かれました。ワトキンス待望の録音です。作品は8つの小品から構成され、第1曲「プロローグ」はホルンの自然倍音だけで演奏されます。第2曲「パストラール」ではクレイトンの優しい声が響くとワトキンスのホルンルンが応答するように流れてきます。第3曲「ノクターン」は弦楽の叫びのようなフレーズから始まりテノールの歌唱に応えるように跳躍的なホルンのフレーズが入ります。ワトキンスのホルンが素晴らしい。第4曲「エレジー」はホルンが半音ずつ下がるロングトーンの連続です。ホルンのソロが長いので全曲の中でも聞きどころでしょう。最後にハンドストップから次第に開放していくところもこの曲の魅力的なところです。第5曲「ジーグ」はテノールと弦楽が徐々に盛り上げていき最後にホルンがフォルティシモで入る緊張感のある曲。ワトキンスのグリッサンドは見事なものです。第6曲「賛歌」は狩りのホルンのような跳躍するホルンが難しい曲です。ここではホルンがほとんど主役になっています。鮮やかなタンギングは聞きもの。第7曲「ソネット」はテノールと弦楽だけのポエム。その間にホルンは無題裏に入り、第8曲「エピローグ」を吹きます。冒頭の「プロローグ」と同じ楽譜を遠くから響くように舞台裏から演奏します。


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