イェネ・ケヴェハージ

ブラームス、ヘルツォーゲンベルク&デュヴェルノワ/ホルン三重奏曲
CD(NAXOS 8.550441)

1.ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調
2.ヘルツォーゲンベルク/ホルン、オーボエと
       ピアノの為の三重奏曲
3.デュヴェルノワ/ホルン三重奏曲第1番

  イェネ・ケヴェハージ(ホルン)(1〜3)
  ヨージェフ・キシュ(オーボエ)(2)
  イルディコー・ヘジ(ヴァイオリン)(1&3) 
  イェネ・ヤンドー(ピアノ)(1〜3)
   録音 1992年9月7〜10日

 ハンガリー出身のケヴェハージのホルンは柔らかで透明感のある響きと言えます。安定したテクニックで吹いてくれます。
 ブラームスホルン三重奏曲は大変美しい響きのホルンで、気持ちの良い演奏です。ヴァイオリンとピアノも大変良い響きです。第2楽章のスケルツォはこれほど楽しそうに聞こえる演奏も少ないと思います。演奏を楽しんでいるようです。ブラームスはこれでいいと思います。ケヴェハージのホルンは実に流麗で安心して聴けます。第3楽章のアダージョ・メストはアルペッジョのピアノが響き、そしてホルンとヴァイオリンが哀愁的な主題を歌います。スラーのきれいなことに驚きました。第4楽章のアレグロ・コン・ブリオは3人の息の合った演奏、ホルンが負けそうなほどの熱気が伝わってきます。この勢いのある演奏は大変素晴らしいです。
 ヘルツォーゲンベルクの三重奏曲は1977年のタックウェルに次ぐ録音でしたが、オーボエ奏者にとっても貴重なレパートリーのようです。ヨージェフ・キシュのオーボエは美しい音色でこの作品を演奏しています。第1楽章の語り合いのような主題が特徴的です。3人の息の合った演奏が楽しく聞こえます。第2楽章のプレストは楽しそうな主題をオーボエとホルンが吹きます。中間部の穏やかな部分もきれいです。第3楽章のアンダンテ・コン・モトはオーボエとホルンが和音を奏でながら主題を演奏しています。ホルンのソロは抒情的でオーボエとの対話も聴きものです。第4楽章のアレグロはピアノ主導の冒頭から良い響きです。楽しそうな雰囲気を感じさせる演奏です。
 デュヴェルノワのホルン三重奏曲第1番は同じハンガリーのアダム・フリードリヒが1970年代に録音していました。ケヴェハージの演奏は第1楽章のアダージョから優雅なホルンを聴かせてくれます。この作品はヴァイオリンにも魅力的な主題があります。フランスの室内楽作品だけにケヴェハージのホルンはよく合います。第2楽章のアレグレットは狩りのホルン風の主題が流れます。デュヴェルノワはホルン奏者でしたのでホルンの主題が多いのは当然です。よい演奏です。
 このアルバムは絶賛したい名演です。


トップへ
戻る
前へ
次へ