エルドン・マトリック

フレンチ・コネクション/ボザ/山の頂で、遥かな歌、他
CD(Mark masters 9221−MCD)

1.ロベール・プラネル/カプリース
2.ギョーム・バレイ/森の歌
3.ルイ・ピアントーニ/狩りのアリア
4.グザヴィエ・ルルー/ホルン・ソナタ
5.ジャック・シャルパンティエ/ディアーヌのために
6.ロジェ・ブトリー/Chassacor(狩りのホルン)
7.アンリ・ビュッセル/聖フーベルトの狩り
8.ウジェーヌ・ボザ/山の頂で
9.ノエル・ガロン/アンダンテとプレスト
10.マルセル・ポー/サラバンド
11.ウジェーヌ・ボザ/遥かな歌
12.アルフレッド・デサンクロ/カンティレーヌとディヴェルティスマン

  エルドン・マトリック(ホルン)
   カイラ・ポールク(ピアノ)
   録音 2010年8月10〜12日
   オクラホマ音楽大学/シャープ・ホール 

 アメリカのホルン奏者エルドン・マトリックによるフランスのホルン作品集です。マトリックは2002年にドイツのホルン作品を録音していました。
  ロベール・プラネル(1908〜1994)のカプリースは冒頭のフレーズがラインベルガーのホルン・ソナタの第3楽章冒頭かと思えるほど似た音形です。20世紀の作品ながらロマンティックな音楽です。
  ギョーム・バレイ(1871〜1943)の森の歌は狩りのホルンというよりは森の静けさや息づかいを歌うような作品です。
  ルイ・ピアントーニ(1885〜1958)の「狩りのアリア」は「狩りの歌」で静と動を感じさせる作品です。録音は珍しくもっと演奏されてもよいでしょう。
  グザヴィエ・ルルー(1863〜1919)のホルン・ソナタはこれも初録音でしょう。単一楽章の作品で穏やかな前半、狩りのホルンのような中間部が素晴らしい。後半はテンポが少し遅くなって力強い演奏になります。これからどんどん演奏されて良いでしょう。
  ジャック・シャルパンティエ(1933〜)の「ディアーヌのために」は穏やかな雰囲気の小品で、ノクターンのようです。
  ロジェ・ブトリー(1932〜)はギャルド・リュピュブリケーヌの指揮者でピアニストです。Chassacor(狩りのホルン)は狩りの風景を歌ったもので、狩りのロンド風の音形に始まり、穏やかな森の風景を感じさせる中間部と狩りのホルンの後半から構成されています。楽譜も出版されています。
  アンリ・ビュッセル(1872〜1973)の「聖フーベルト(ユベール)の狩り」は狩りのホルンの素晴らしさを感じさせる名作で、ペーター・ダムも録音しています。
  ウジェーヌ・ボザ(1905〜1991)の「山の頂で」は「森にて」と並ぶ名曲です。ペーター・ダムが録音して以来演奏、録音がされるようになりました。山の自然を表現したこの作品は聞けば聞くほど魅力あふれるものです。
  ノエル・ガロン(1891〜1966)の「アンダンテとプレスト」は1957年の作品でパリ音楽院のジャン・ドゥヴェミーに献呈されています。穏やかで美しいアンダンテと狩りのホルンを思わせるプレストで構成されています。 
  マルセル・ポーの「サラバンド」は「伝説」同様ポーのホルン作品です。穏やかな雰囲気の作品で、かつてジェームス・チェンバースが録音していました。
  ウジェーヌ・ボザの「遥かな歌」はホルン作品ながら録音が極めて少ないので聴く機会がほとんどないでしょう。ボザ独特の作風ですが後半にワーグナーのジークフリートの動機やベートーヴェンの田園を思わせるフレーズが出てきます。他に渡部奈津子の録音があります。
  アルフレッド・デサンクロ(1912〜1971)の「カンティレーヌとディヴェルティスマン」は詠唱ともいえるカンタービレ風の歌とディヴェルティメントの軽快な歌の部分から構成されています。魅力的な作品です。
  これは大変良いアルバムです。演奏が素晴らしく、そしてほとんどが初録音のようです。


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