プジェミスル・ヴォイタ

リゲティ、他/近現代のホルン三重奏作品集
CD(AVI MUSIC 8553522)

1.アブラハムセン/ゼクス・スティッカー
 〜ホルン、ヴァイオリンとピアノのための6つの小品
2.ケージ/ミュージック・フォー・スリー
   (ヴァイオリン、ホルンとピアノのための版)
3.ケクラン/4つの小品 Op32
4.シュレーダー/ホルン、ヴァイオリンと
     ピアノのための三重奏曲第2番Op40
5.リゲティ/ホルン、ヴァイオリンと
        ピアノのための三重奏曲

 プジェミスル・ヴォイタ(ホルン)
 イェ・ウー(ヴァイオリン)
 フローレンス・ミレー(ピアノ)
 録音 2020年7月&
     2021年6月
     世界初録音(2&4)
  WDRクラウス・フォン・ビスマルク・ザール

 プジェミスル・ヴォイタのホルンによる近現代のホルン三重奏作品集です。
 ハンス・アブラハムセン(エイブラハムセン)(1952〜)の「ゼクス・スティッカー」はホルン、ヴァイオリンとピアノのための6つの小品です。第1曲「セレナーデ」はピアノとヴァイオリンで静かに始まります。ミュートのホルンも入ります。終結の部分は良い響きです。第2曲「ブルース」はピアノ、ホルンとヴァイオリンが華やかに歌います。後半は力強い演奏です。第3曲「アラベスク」はピアノに始まります。ホルンのハイトーンも入ります。ヴァイオリンも重なります。第4曲「葬送行進曲」は暗い響きのピアノに始まります。やがてホルンとヴァイオリンも入りますが、主題らしいものではありません。第5曲「スケルツォ・ミステリオーソ」は軽やかなピアノ、そしてやがてヴァイオリンとホルンが入ります。これは良い響きです。第6曲「子供のために」は静かなピアノに始まります。そしてピアノだけで静かに終わります。
 ジョン・ケージ(1912-1992)の「ミュージック・フォー・スリー」はヴァイオリン、ホルンとピアノによる演奏です。1984〜87年の作品ですから、現代的な響きになります。ゆったりと始まります。ヴァイオリンとホルンはゆったりとしたロングトーンのような演奏です。中間部には力強いピアノが響きます。練習曲のような作品です。
 シャルル・ケクラン(1867-1950)の「4つの小品」はホルン、ヴァイオリンとピアノのための作品です。4つの楽章で構成されています。第1曲:アンダンテはヴァイオリンによって美しい主題が演奏されて、ホルンが対話してきます。ロマンティックな作品です。第2曲はホルンにはじまります。そしてヴァイオリンが加わります。大変きれいな演奏です。第3曲もヴァイオリンの美しい響きとホルンの対話が素晴らしいです。第4曲のスケルツァンドはホルンが楽しそうに始まります。ヴァイオリンが加わってきれいな演奏です。
 ヘルマン・シュレーダー(1904-1984)の「ホルン、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲第2番」は世界初録音です。3つの楽章で構成されています。第1楽章:アンダンテ・ソステヌートはホルンに始まります。そしてピアノとヴァイオリンが入ってきます。ホルンのきれいな主題が印象的です。途中からは速いフレーズが聴かれます。きれいな演奏です。第2楽章:アダージョは穏やかにホルンが響きます。ピアノとヴァイオリンも静かな響きです。これは美しい作品です。後半は軽やかな演奏で、これもきれいな演奏です。第3楽章:プレスト・スケルツァンドは軽やかなピアノに始まります。そして軽快なホルンとヴァイオリンが入ります。きれいな主題が歌われます。ホルンも楽しそうに歌います。これはよい作品です。
 ジェルジュ・リゲティ(1923-2006)の「ホルン、ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲」はリゲティがブラームスへのオマージュとして作曲した4楽章のホルン三重奏曲です。12音技法の難しい曲です。第1楽章のアンダンテ・コン・テネレッツァはホルンに始まります。ヴァイオリンとピアノも静かに加わります。やがて力強い響きになります。ミュートのホルンもあります。ヴォイタのホルンはきれいな演奏です。第2楽章のヴィヴァーチッシモ・モルト・リトミコは速いテンポですが素晴らしい演奏になっています。ホルンはミュートも使います。ハイトーンもあってテクニックを要する楽章です。良い演奏です。ピアノの演奏も素晴らしいです。第3楽章はアッラ・マルチャです。ヴァイオリンとピアノが華麗な響きで始まります。ここでもホルンはミュートを使います。やがてホルンも力強い演奏を聞かせてくれます。第4楽章はラメント、アダージョです。ヴァイオリンの哀愁的な響きに始まります。ピアノもきれいに響きます。そして華麗な響きになります。ホルンも良い響きです。最後は間をおいて静かに終わります。見事な演奏です。


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