ゾラ・スローカー

イェナー/クラリネット、ホルンとピアノのための三重奏曲(2019)
CD(Aulicus classics ALC0033)

グスタフ・イェナー/室内楽作品集
1.クラリネットとピアノのためのソナタ ト長調
2.クラリネット、ホルンとピアノのための
            三重奏曲変ホ長調

 パオロ・ベルトラミーニ(クラリネット)(1&2)
 ゾラ・スローカー(ホルン)(2)
 ロベルト・アロージオ(ピアノ)(1&2)
 録音 2019年10月 

 グスタフ・イェナー(1865〜1920)はドイツの作曲家。ブラームスの弟子として学んでいましたので、作風はブラームスの影響を受けてロマンティックです。パオロ・ベルトラミーニはイタリアのクラリネット奏者。ゾラ・スローカーはスイスのホルン奏者です。
 クラリネット・ソナタ ト長調は4つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・モデラート・グラチオーソ」、第2楽章「アダージョ・エスプレシーヴォ」、第3楽章「アレグレット・グラチオーソ」、第4楽章「アレグロ・エネルジコ」になります。パオロ・ベルトラミーニのクラリネットが大変ロマンティックな演奏です。ブラームスも2つのクラリネット・ソナタを作曲していますが、このイェナーの作品も素晴らしい作品です。第2楽章のアダージョ・エスプレシーヴォには癒されます。第3楽章はテンポの変化もあってスケルツォ風の演奏です。この作品は後期ロマン派の作品と言ってもよいほどの名曲です。
 クラリネット、ホルンとピアノのための三重奏曲はクラリネットとホルンのデュオといってもよい作品です。4つの楽章で構成されています。第1楽章「モデラート」はホルンで始まってクラリネットがすぐ応答するという物語風なところはロマン派作品のようです。クラリネットとホルンのユニゾーンは溶け合うように美しい響きです。この感動的な演奏はこの作品の素晴らしさを教えてくれます。スローカーのホルンが大変美しいです。第2楽章「アダージョ」はピアノに始まり、クラリネットが歌い、ホルンが応答していきます。ホルンの響きが大変きれいです。この楽章もクラリネットとホルンの響きには癒されます。素晴らしい演奏です。第3楽章「プレスト」はクラリネット、ホルンとピアノが快活なスケルツォを演奏しているように聞こえます。ここではクラリネットが明るく動き回ります。ホルンも見事なテクニックで主題を演奏しています。スローカーのホルンはクラリネットと融合して、ここも素晴らしいです。第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」はいよいよピアノが重厚な響きを出してきます。そこにクラリネットとホルンが絡んでいきます。この楽章はイェナー独特とも思える作風です。それにしても実に素晴らしい作品です。クラリネットとホルンが力強く演奏するところも素晴らしい響きです。ブラームスのホルン三重奏曲やクラリネット三重奏曲と並ぶ名曲といってよいでしょう。この録音が最新録音になります。


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