ハワード・ウォール
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CD(Affetto AF2006)
無伴奏ホルンのための作品集
1.ゴメス/ラ・カラベラ
2.カーター/リトレイシング2
3.バルボトゥ/独奏ホルンのための
5つの詩的な小品より
1)アンダンテ・カンタービレ
2)ムーヴメント・トレ・リブレ
4)アレグロ・ヴィーヴォ
4.カライヴァノフ/パストラール
5.レイミー/独奏ホルンのためのガーゴイル(1995)
1)神経質な(アンダンテ)
2)ロマンティック(レント)
3)戯れる(モデラート)
4)悲しげな(アダージョ)
5)耳ざわりな(モデラート・コン・モト)
6)意地の悪い(モデラート)
7)眠くなるような(アダージョ)
8)勝利を得た(アレグロ・マルカート)
6.ピアソラ/タンゴ・エチュード第4番
(ハワード・ウォール編)
7.ケクラン/モノディーOp218bis
8.ブルガリア民謡/「夢見るトドラ」と民族舞踊曲
9.プルースト/放浪人
10.レイミー/3つのプレリュードから第3番
11.レフ・コーガン/カディッシュ
12.エリザベス・ラウム/イディオム
13.ダンテ・エンケ/ホローポ風トナダ
ハワード・ウォール(ホルン)
録音 2018〜2019年(1、3、4&6〜12)
2017年2月10日(5)
2019年10月(2&13)
アメリカのホルン奏者ハワード・ウォールによる無伴奏ホルン作品集です。8つの作品が世界初録音になります。なお、レイミーの「ガーゴイル」以外はAF2002に収録された音源と同一です。
アリス・ゴメスの「ラ・カラベラ」はこれが世界初録音です。ホルンが縦横に華やかな演奏をしています。狩りのホルンのように動きのある素晴らしい作品です。
エリオット・カーターの「リトレイシング2」はホルンの低音を多用して深みのある響きの小品です。
ジョルジュ・バルボトゥの「無伴奏ホルンのための5つの詩的な小品」はホルン作品の名作です。その中から3曲を演奏しています。第1曲「アンダンテ・カンタービレ」は大変美しい主題で流麗な演奏です。フランスのホルンらしい明るさもあります。第2曲「ムーヴメント・トレ・リブレ」はこれも穏やかなテンポで演奏します。ゲシュトップも入って音色の違いも聴かれます。第4曲「アレグロ・ヴィーヴォ」は速いテンポで動きのある主題を滑らかに演奏しています。ここでもゲシュトップを使います。見事な演奏です。
ストヤン・カライヴァノフの「パストラール」は世界初録音になります。田園風景を表現するにはホルンが一番合います。雄大な風景をホルンが朗々と演奏します。
フィリップ・レイミーの「ガーゴイル」は世界初録音になります。この作品は1995年にフィリップ・マイヤーズのために書かれました。「ガーゴイル」とは雨どいの出口に作られた怪物のことです。8つの小品の組曲です。副題を見ながら聞いていると面白いです。第1曲「神経質な」はアンダンテ、緊張感をもって歌うような小品。第2曲「ロマンティック」はレント、静かに始まりやがてホルンによる愛の歌が歌われます。第3曲「戯れる」はモデラート、動き回る様子も感じられます。第4曲「悲しげな」はアダージョで、まるでエレジーのようです。第5曲「耳ざわりな」はモデラート・コン・モト、何度もグリッサンドでハイトーンが演奏されます。第6曲「意地の悪い」はモデラート、ミュートを使っているかと思いましたが、ゲシュトップと開放音の音色の違いを演奏した「意地悪な」小品です。第7曲「眠くなるような」はアダ−ジョ、ミュートを使って静かに歌う子守唄のようです。第8曲「勝利を得た」はアレグロ・マルカート、フィナーレを飾る誇りに満ちたようなホルンの歌が流れます。
ピアソラの「タンゴ・エチュード第4番」はハワード・ウォールの編曲で、これが世界初録音になります。穏やか主題に始まって、後半にはタンゴ風の主題も聴かれます。
シャルル・ケクランの「モノディー」は無伴奏ホルンのための作品です。ケクランの遺作となった作品です。穏やかなテンポで森に響くようなホルンで低音から高音まで滑らかに演奏されています
ブルガリア民謡の「夢見るトドラ」と「民族舞踊曲」も世界初録音になります。ブルガリア民謡の美しい主題と民族舞踊のテンポの変化が面白いです。ダンス音楽で低音を使いますので響きが素晴らしいです。
パスカル・プルーストの「放浪人」はこれも世界初録音になります。放浪するかのようにふらつくようなホルンの主題が流れます。このような自在な動きを楽しそうに演奏しています。
フィリップ・レイミーの「3つのプレリュード」から第3番は世界初録音になります。狩りのホルンのような動きのあるプレリュードです。楽しい小品です。
レフ・コーガンの「カディッシュ」はイスラエルのホルン奏者メイヤー・リモンのために書かれています。穏やかに始まって民謡風の歌が流れます。美しい小品です。
エリザベス・ラウムの「イディオム」は世界初録音になります。イディオムとは熟語とか慣用句の意味があります。この作品は語りかけるような主題が演奏されています。まさに説得力があるような主題が演奏されています。中間部にはハイトーンも聴かれます。後半には主題の再現があって雄大さも感じられます。
ダンテ・エンケの「ホローポ風トナダ」は世界初録音になります。ペルーの民族音楽をもとに書かれた無伴奏ホルン作品です。南米のダンス音楽の楽しそうな雰囲気があります。 |
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