マイケル・トンプソン

ハイドン/ホルン協奏曲第1番ニ長調(1990)
CD(Virgin classics 7243 5 61235 2 6)

ハイドン/協奏曲&交響曲集
1.ホルン協奏曲第1番ニ長調Hob.Zd−3
2.交響曲第45番嬰へ短調「告別」Hob. Iー45
3.交響曲第94番ト長調「驚愕」Hob. Iー94

  マイケル・トンプソン(ホルン)(1)
  クリストファー・ウォーレン=グリーン指揮
     ロンドン室内管弦楽団(1〜3)
    録音 1990年5月

 ウォーレン=グリーン指揮ロンドン室内管弦楽団によるハイドンのホルン協奏曲と2つの交響曲です。
 ハイドンのホルン協奏曲第1番はホルン協奏曲の名曲のひとつです。中音域のきれいな協奏曲ですからトンプソンのホルンは澄んだ音色で大変素晴らしい演奏です。カデンツァは長大でよくできています。なお、この演奏では通奏低音にチェンバロを使っていますので良く響きます。第2楽章のアダージョは美しいホルンが歌います。低音も良く響きます。カデンツァはきれいな演奏です。第3楽章のアレグロは狩りのホルンのように軽快な演奏です。弦楽の美しい響きと時折響くチェンバロがきれいです。トンプソンのホルンは軽やかで見事な演奏です。カデンツァはこれも細やかな素晴らしい演奏です。
 交響曲第45番嬰へ短調「告別」はハイドンの交響曲の中でも有名な作品です。4つの楽章で構成されています。第1楽章「アレグロ・アッサイ」は道を急ぐ旅人を思わせるスピード感のある演奏です。第2楽章の「アダージョ」は静かに始まり、オーボエが優しく歌います。静かな部分が続きます。第3楽章のメヌエットは明るい主題が快い響きで流れます。ホルンも活躍します。出番が多いです。ここは聴きどころです。第4楽章の前半はプレストで忙しく弦楽が演奏します。後半はアダージョで、次第に演奏者が一人ずつ抜けていくという風変わりな作品です。最後にヴァイオリンが2人だけになるという「さよなら交響曲」です。
 交響曲第94番ト長調「驚愕」もハイドンの交響曲の中でもひと際有名な作品です。4つの楽章で構成されています。第1楽章は序奏の「アダージョ・カンタービレ」の穏やかな演奏の後に主部の「ヴィヴァーチェ・アッサイ」がきます。大変速いテンポで忙しく動き回ります。フルートやオーボエが良く響きます。第2楽章の「アダージョ」はppで静かに始まり、pppでもっと聴こえなくなったと思ったら全合奏でドカンとびっくりさせてくれます。これが「びっくり交響曲(サプライズ・シンフォニー)」といわれる所以です。そのあとも静かに演奏して、ハ短調に転調すると厚い響きになります。そこから変奏曲になってきます。クライマックスの大きな響きもあります。第3楽章のメヌエットは「アレグロ・モルト」の速めのテンポで演奏します。楽しいメヌエットです。第4楽章の「アレグロ・ディ・モルト」は速いテンポで進みます。フルートとファゴットのユニゾーンもあってこの楽章は良い響きを楽しむことができます。このハイドンの2つの交響曲は大変素晴らしい演奏です。


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