ジョナサン・ウィリアムズ

シューベルト/八重奏曲ヘ長調(2001)
CD(hyperion HELIOS CDH55460)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ゴーディエ・アンサンブル
 マリーケ・ブランケスティン(ヴァイオリン)
 レスリー・ハットフィールド(ヴァイオリン)
 アイリス・ジューダ(ヴィオラ)
 クリストフ・マークス(チェロ)
 スティーヴン・ウィリアムズ(コントラバス)
 リチャード・ホスフォード(クラリネット)
 ロビン・オニール(ファゴット)
 ジョナサン・ウィリアムズ(ホルン)
  録音2001年12月21〜23日 
   ロンドン/ヘンリー・ウッド・ホール

 ヨーロッパの演奏家によるアンサンブル、ゴーディエ・アンサンブルによるシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ブランケステインのヴァイオリンとホスフォードのクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くジョナサン・ウィリアムズのホルンは滑らかな演奏です。展開部は緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。コーダはファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはホスフォードのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。クラリネットとファゴットのユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変よい響きです。チェロの深い響きもまた聴きものです。大変美しいアダージョです。コーダのコントラバスのピツィカートは大変よく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ブランケステインのリードするアンサンブルは流麗な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、「ロザムンデ」の間奏曲を思わせるような主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。ウィリアムズの吹くホルンの第3変奏は朗々としてよい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏もまた聞きものです。メリハリがあって力のこもった演奏は圧巻です。第5変奏は勢いがあります。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ウィリアムズのホルンは滑らかです。トリオのファゴットの響きも素晴らしいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはよくできたシューベルトらしいフィナーレです。これは素晴らしいアンサンブルです。演奏時間59分15秒。


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