フィリップ・マイヤーズ

ウィリアム・シューマン/ホルン協奏曲
CD(NEW WORLD RECORDS 80326−2)

1.ジョージ・クラム/魔法にかけられた景色(1984)
2.ウィリアム・シューマン/ホルン協奏曲
           「3つの会話」(1979)
  フィリップ・マイヤーズ(ホルン)(2)
  アーサー・ワイスバーグ指揮(1)
  ズビン・メータ指揮(2)
  ニューヨーク・フィルハーモニック
   録音 1985年

 ウィリアム・シューマンのホルン協奏曲は「3つの会話」という題名になっており、切れ目無く演奏されます。曲は第1楽章:「反芻(はんすう)」、第2楽章:「リニューアル」、第3楽章:「思い出」とそれぞれ副題がありホルンのソロが縦横に歌われます。
 第1楽章のホルンはブリテンの「カーリュー・リヴァー」を思わせる音形とトリルが印象的、第2楽章はかなり難解な曲で、演奏は困難の連続でしょう。装飾音、グリッサンド、これはバックのオーケストラも同様です。しかしながら不協和音は少なく音楽としてはよくできています。穏やかなソロがあって後半のクライマックスになります。ベルを含むパーカッションの大音響が印象的です。第3楽章は郷愁的なメロディーに始まり、チェロやオーボエのソロがホルンを引き立てます。この楽章は穏やかな雰囲気の音楽に満ちておりロマンティックそのもので、1、2楽章とはまったく異なる曲という印象を受けます。マイヤーズのホルンはホルトンを吹くタックウェルのような響きを出していて、全楽章にわたり見事な演奏を聞かせてくれます。
 クラムの「魔法にかけられた景色」は大編成のオーケストラのための作品のようですが、静寂の中に突然雷鳴が轟くといった印象を受けました。


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