ジェニファー・モントン

ペンデレツキ/ホルン協奏曲「冬の旅」(2008/2009改編)

CD(NAXOS 8.572482)

ペンデレツキ/作品集
1.「フォノグラミ」〜フルートと室内オーケストラのための
2.ヤコブの目覚め〜オーケストラのための
3.アナクラシス〜弦楽とパーカッションのための
4.デ・ナトゥラ・ソノリスT〜オーケストラのための
5.パルティータ〜ハープシコード、エレキ・ギター、
 ベース・ギター、ハープ、コントラバスとオーケストラのための
6.ホルン協奏曲「冬の旅」(2008/2009改編)

 ウルズラ・ヤニク(フルート)(1)
 エルジュビェタ・ステファンスカ(ハープシコード)(5)
 ジェニファー・モントン(ホルン)(6)
 アントニー・ヴィット指揮
   ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2008年9月10日(1)
      2008年8月28日(2)
      2008年8月29日(3)
      2008年9月08日(4)
      2009年9月07日(5)
      2010年6月14&15日(6)

 このアルバムは2008年に日本で世界初演されたホルン協奏曲「冬の旅」をメインとして1960〜70年代のペンデレツキの作品が演奏されています。
 「フォノグラミ」は1961年の作品、過激なパーカッションと弦楽の不協和音、そしてピッコロかと思うほど高域まで吹くフルートが時には尺八のようなテクニックを披露するところに注目です。「ヤコブの目覚め」は1974年のオーケストラのための作品。難解ですが勢いを感じさせます。
 「アナクラシス」は1960年の作品でペンデレツキ27歳の時の作曲。演奏そのものが難しいと思われます。「デ・ナトゥラ・ソノリスT」は1966年の作品、現代音楽華やかな時期のものです。 「パルティータ」は1971年の作品で1991年に改編されています。ハープシコードとハープの他にエレキ・ギターを使う面白い編成の曲です。ただし、ハープシコードはバロック楽器としてよりも撥弦楽器としての扱いもありそこはさすがに違います。
 ホルン協奏曲「冬の旅」は初演者ヴラトコヴィチが録音していますが、この録音は2009年に改編された版によります。原典版とのとの違いはわかりませんが、ジェニファー・モントンのホルンが大変な名演で、新しい曲を聞いているかのように新鮮です。曲は序奏と狩のロンドの部分に分かれていて、20世紀のペンデレツキの面影はありません。大変きれいな作品です。
 ジェニファー・モントンはジュリアード音楽院でジュリー・ランズマンに師事。ダラス交響楽団の副首席、セントルイス交響楽団の首席を経て、2006年からフィラデルフィア管弦楽団の首席ホルンに就任しています。また凄い女性のホルン奏者が現れました。このホルン協奏曲を聴くために前の5曲を聞くのはかなり重いですが、それだけにこの作品は同じ作曲家の作品とは思えません。100年前の作品のようです。


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